ゲーム感覚で仮説作りを楽しむ
私などは、この仮説作りが習慣化していて、どこかの会社の業績が悪化したというニュースを聞くと、「××という理由で、業績が悪化したのだろう」と考える。
しばらくして、同業の会社が同じように業績が悪化したというニュースを見たら「やっぱり、××という理由だったな」と考える。
さすがに一つ見るだけでは、いきなり仮説作りはしないが、二つ同じような状況を見て、「その原因が同じだな」と思ったら、もう仮説が証明されたと思ってしまう。
家内に言わせれば、「すぐ一般化するんだから、おかしい」ということになるが、これぐらいの勢いで仮説作りをしていくと、結論にたどりつくのが断然早くなる。 皆さんもだまされたと思って、ゲーム感覚でいいから、どんどん思い切った仮説作りをしてみてほしい。
独りよがりをチェックする
こうして大まかな仮説ができたら、それが他人の目から見ても妥当なものかどうかをチェックしてもらうことが大切だ。一人で仕事を進めていくと、どんどん独りよがりになってしまうからだ。
自分の仮説を上司や周りの人間に見てもらって、自分でも自信の持てない点について、積極的に意見を求めるといい。
前項の例で言えば、州によって販売網の違いがないのか、小売店に直接アプローチするやり方は有効でないのか、インターネット販売でやったらうまくいかないのか等々、自分の疑問点をぶつけていくのだ。
上司にあなたの考え方を「見える化」しておく
また、目星をつけた3社の状況をよく知っている人や、コンタクトがあるなら当該会社の人から話を聞き、買収が可能かどうかについても当たりをつけていく。
そして、先ほどの仮説を修正すべきところは修正し、修正するところがなければ、仮説の内容をさらに精緻なものとして、結論を導き出すのである。
こういう仕事の進め方をしていれば、上司にも途中経過がよく見える。
「なるほど、あいつはこういう方向で考えているのか。でも、あのポイントの検討が不十分だから、ちょっと注意をしておこう」とか、「あいつの仮説は、××さんの意見に左右されているようだが、この問題に詳しい◯◯さんの意見はまったく聞いていないようだから、◯◯さんとミーティングをセットしてやろう」という具合である。
つまり、上司にあなたの考え方が「見える化」されているから、具体的なフィードバックをもらいやすくなるわけだ。
こうした仕事の進め方をしていけば、最後の最後になってドンデン返しということはなくなるから、時間を無駄にしないで済む。
こうして、いろいろな人の意見を聞き、独りよがりをチェックしていけば、仮説の現実性を検証することができるのである。正しい結論に早く到達するには、きわめて有効な方法である。