●一方、金融資産を年率3%で運用できると仮定すると、110歳の手前まで「資産寿命」を延ばすことができる。守りながら増やす運用が必要になる。

 紙面で紹介されている商品の特徴は、(A)コスト控除後に年率3%を目指すことをうたい、(B)運用概要は世界株式が10~30%、世界債券が65~90%、販売手数料は2.16%(税込み。1億円未満の購入の場合)、信託報酬は年0.999%(税込み)、(C)分配金は年金が支払われない奇数月に行われる、とされている。

 筆者からは、老後のお金の考え方・扱い方として、問題点満載に見えるのだが、読者はどう思われるか。例えば、FP(ファイナンシャルプランナー)資格をお持ちの方なら、少なくとも五つは問題点を見つけてほしいが、いかがだろうか。

一見よさそうで実はダメな意見

 まず、長寿化に対する、個人にあっても、社会にあっても最も根本的な対策は、より長い期間効率的に働き稼ぐことだ。リタイア年齢を例えば65歳だと仮定して、寿命が延びる分だけ「老後」の期間が長くなるようなイメージを喚起することは有害だ。(1)(括弧内の数字は問題点を示す)

「資産寿命」という怪しい単語を押し出したのは、この広告の大きな工夫点かもそれないが、「資産寿命」は、現存する資産の運用によってではなくとも、現役時代の貯蓄を増やしたり、老後の支出を小さくしたりすることによって、むしろ確実に伸ばすことができる(2)。

 この辺りで、「『資産寿命』を延ばさなければ大変だ。そのためには資産運用が大事なのだ」という思考のフレームワークにはまったあなたは、鍋に入りつつあるカモだ。

 ゆとりある老後の1月あたり生活費(たいてい34万~35万円)は、生保文化センターのアンケートに基づく「平均値」だが、これが単なる希望的金額であることに加えて、「平均」が誰も安心させない知識であることに注意が必要だ。

 相対的に多く稼いで多く使っている人は「これで足りるのか」と疑問に思うだろうし、稼ぎも支出も少ない人は「こんなにないと老後は悲惨なのか」と心配に思うだろう。老後に必要な金額・可能な支出額については、あくまでも「自分の数字」で計算すべきであり、その方法もある。