鉄工所こそ感性の時代

 以前、京都試作ネットの構成企業だった川並鉄工株式会社は、1904年創業の鉄工所です。

 鉄工所でありながら、精密部品加工で培った先端の切削加工技術をデザインに応用し、金属を用いて新しい表現を提案するデザインプロジェクト「METALSPICE(メタルスパイス)」を展開しています。

「森精機」が主催する「第4回切削加工ドリームコンテスト」に出展した作品、「JACKET(ジャケット)」は、リアルに再現されたその質感が評価され、金賞を受賞しました。

「京都センチュリーホテル」のメインダイニング「カサネ」には、デザイナーとデジタルクリエイターと鉄工所がコラボしたアート作品「一重白彼岸枝垂桜(ひとえしろひがんしだれざくら)」(円山公園の枝垂桜がモチーフ)が展示されています。この作品の加工を担当したのが、川並鉄工なのです。

 川並宏造(かわなみこうぞう)社長は、もともと芸術家タイプ。
 書道家としての顔も持っていましたが、「ドリームコンテスト」エントリー以前は、「芸術と鉄工は別、趣味と仕事は別」と切り離して考えていました。

 しかし、複雑なオブジェや金属デザインパネルといった造形デザイン製作に踏み切ったことで、川並鉄工は新しい方向へと舵を切ることができました

 2010年には、大判デザイン金属パネル「刻鈑(こくはん)」を開発。
 デジタル写真や画像を薄板金属板上面に削り出す新しい手法で、その製法は特許を取得しています。

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