うなぎと比べると一般的に淡泊なのが「なまず」。しかし、「うなぎ味のなまず」は、皮と身の間に含まれる脂や皮の食感・風味などが特にうなぎと似ている。とりわけ、尻尾に近い部分は淡泊な身の部分が少なくなり、相対的に皮の部分も多くなるためか、かなりうなぎに近いものがある。

 この「うなぎ味のなまず」は、数ある「なまず」の種の中から「マナマズ」を用いている。その理由は、昔から日本に生息している種で生態系を壊す心配が少ないといわれていること、蒲焼にした際によりうなぎに似た風味になることなどにある。

 この「マナマズ」の養殖はうなぎとは違い、人為的に卵を孵化させる完全養殖が商用上も可能だ。そのため、うなぎの養殖のように稚魚のシラスウナギの漁獲量に左右されるなどの資源的な問題が起きにくい一方、卵から稚魚にする工程には独自の難しさもある。また、うなぎと比較すると池から出す際のストレスに弱く、扱いには細心の注意が必要とのことだ。

 そして、養殖業では、餌の開発がポイントとなることが多く、「なまず」の場合も同様である。特に淡泊な「なまず」をうなぎのように脂が多く感じられるように仕上げるには、なまず独自の餌料開発が必要であり、この点などで近畿大学の有路昌彦教授の協力も得ながら、うなぎ味の「なまず」の養殖技術が開発された。

 しかし、量産が可能になってきているとはいえ、価格はうなぎの1割~2割程しか安くならないのが現状だ。日本なまず生産の牧原代表に今後に向けてのお話を伺うと、生産量の増加はもちろんのこと、「夏場だけでなく年間を通じての出荷を増やしていきたい」とのこと。また、「なまずの良さは、蒲焼き以外での用途でも使いやすいところにあり、洋食など様々な場面での活用方法を今後提案しながら、まずは1パック1000円程を目指したい」(牧原代表)と抱負を語る。

 うなぎの代替品としての「なまず」は、さらなる量産には課題がある一方で、さまざまな可能性を秘めている。うなぎ養殖の空いた池を活用できるなど、生産者側の問題解決にもつながる可能性がある点も大きく、これからもさらなる発展を期待されている。