さらに、2025年になると、「団塊の世代」と呼ばれる1947~1949年生まれの人が全員75歳以上になり、2040年には高齢者数がピークを迎える。2025~2040年にかけて医療を必要とする人が急増することが予想されており、社会保障改革は待ったなしの状態となっている。

 そこで始まったのが、「全世代型の社会保障制度」への転換だ。

国民会議の報告書に描かれた
社会保障制度改革の青写真

 近年の社会保障制度改革は、2012年2月に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」からスタートした。当時は民主党政権だったが、社会保障制度改革を進めるために、自民党・公明党との3党合意で、その年の8月に「社会保障・税一体改革関連法」が成立。社会保障費を捻出するための「消費税増税法」、子育て世代を応援する「子ども・子育て支援法」などとともに、医療や介護、年金などの社会保障の改革に向けて基本事項を決めた「社会保障制度改革推進法」が成立し、一連の社会保障制度改革が始まったのだ。

 改革の具体的な内容は、医療関係者、学識経験者、ジャーナリスト、シンクタンク研究者によって構成された「社会保障制度改革国民会議」で議論され、2013年8月に「報告書」がまとめられた。

 ここ数年行われてきた医療や介護、年金、子育て支援などの改革は、この国民会議の報告書に沿って行われている。報告書では、「負担するのは現役世代、給付を受けるのは高齢者」という従来型の構造を見直して、年齢に関係なく「能力に応じて負担し、必要に応じて給付を受ける」全世代型の社会保障にしていくための青写真が描かれている。

 つまり、これまで所得に関係なく一律に優遇されていた高齢者の負担にもメスが入り、一定以上の所得がある人には相応の負担を求めるべし、といった考えが示されたのだ。

 国民会議の報告書を受けて、2013年12月に成立したのが「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」だ。医療、介護、年金、子育ての4分野で、対応すべき改革の項目とスケジュールを明確にしたもので、いわゆる「社会保障プログラム法」と呼ばれているものだ。