戦後、一貫して増え続けていた日本の総人口は、2008年に1億2808万人になってピークに達したあと、2011年以降は連続して減少。2017年は1億2671万人となっている。
総人口が減少するなか、存在感を示しているのが65歳以上の高齢者だ。2012年に3000万人を突破し、2017年は3515万人まで増加。高齢化率は過去最高の27.7%となった(人口は各年10月1日現在)。
世界に例を見ないスピードで高齢化が進む日本で、目前に迫っているのが2025年問題だ。「団塊の世代」と呼ばれる1947~1949年生まれの人が、全員75歳以上の後期高齢者になる2025年以降は、医療や介護を必要とする人が急増することが予想されている。そこで今、急がれているのが「地域包括ケアシステム」の構築だ。
地域で患者を治し、支えるために
不可欠な「かかりつけ医」の存在
2013年8月に出された「社会保障制度改革国民会議」の報告書では、高齢化社会に対応するために、治癒や社会復帰を前提とした「病院完結型」の医療から、QOL(Quality of Life)の維持・向上を目指して地域全体で患者を治し、支える「地域完結型」の医療に転換していくための青写真が描かれた。
高齢になるとひとつやふたつの持病は表れるものだが、その病気は治療をしても必ずしも治るものとは限らない。それでも、人は命が尽きるまで生きていかなければならない。人口が高齢化した社会では、病気を抱えながらも、痛みを緩和したり、身体機能を少しでも回復させたりしながら、人生を全うできるように患者をサポートする医療体制が求められる。
そのため、高齢になって介護状態が進んでも、住み慣れた地域で最期まで自分らしく暮らせるようにするために、病院や診療所、薬局、介護施設、行政、住民などが地域ぐるみで患者をサポートする「地域包括ケアシステム」をそれぞれの地域で作っていくことになったのだ。