「リスクを取りたくなく、取引金融機関も変えたくない」と思う人の場合、解約・換金で生じたお金のうち、生活費用の3~5年分のお金を銀行の普通預金口座に移動し、残りの全額で「個人向け国債変動金利型10年満期」を購入する。この際に、「1年後に解約できることは知っていますが、解約を前提とした運用商品の勧誘は一切必要ありませんのでご遠慮ください」と念押ししておくといい。

 2年経ったら、生活費の1年分程度の金額の個人向け国債を解約して、生活費用の銀行の普通預金口座に補填する(残高は1000万円を超えないこと)。以後、毎年取り崩し可能額を預金に補填する。

「ある程度リスクを取って運用してもいい」と思う人は、上記の個人向け国債の一部を、投資に振り向けていい。この際、運用内容は「絶対に金融機関に相談せずに」「運用商品の勧誘は常に固辞して」自分で考えて行うこと。筆者は、内外の株式のインデックスファンドに、「外国株式6割、国内株式(TOPIX)4割」の比率で投資することをお勧めするが、詳しい理由や考え方は拙著その他の運用の入門書を納得するまで読み込んでほしい。

子どもに「営業勧誘不要」の意思表明をした証人に

 年に1度、金融資産の金額と状態を把握し、「年間取り崩し可能額」を再計算して、生活と取崩額を微調整されたい。

 子どもなど若い方と、お金の状況、口座と資金の在処などの情報を共有すると同時に、金融機関に対して「営業勧誘不要」の意思表明をしたことの証人になってもらうといい。

 おおよそ上記の手順で、後期高齢者であっても資産を守って無難に暮らすことができると思う。今回の相談者たちがうまく実行できることを祈りたい。

 なお、高齢期のお金の扱い方には、運用以外に、最晩年期の認知症などによる判断力喪失に備えたお金の処置の問題があるが(油断のできない問題であり、特に法定後見人をつけられないような処置をしておくことが重要だ)、この問題は別の機会に論じる事にしたい。

 それにしても、このご夫婦のようなケースは少なくないのではないか。冒頭に述べたように、筆者は、個人向けの運用相談をビジネスにするつもりは当面ない(お金をもらって、話の相手をするのは嫌いな仕事だからです)。しかし、事例は知っておきたいし、勝手に他人にアドバイスしたい気持ちになる事もある。

 困っている方は、筆者の会社のメール・アドレス(info@mybenchmark.co.jp)に、どのような状況なのかお知らせくださることは歓迎します。ただし、何度も言うように筆者が商売でやる気はないので、返信は期待しないでください。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)