やばいフランシスコ・ザビエル 仏教のお坊さんと勘違いされて歓迎される
ザビエルの通訳として日本に帰ってきたアンジロウは「この人はインドから来たお坊さんです」と薩摩藩の島津貴久に紹介したそうです。でも、ザビエルはインド生まれじゃないし、司祭とお坊さんは別物です。この雑な説明が、大いなる誤解をまねきます。
インドは仏教を開いたブッダが生まれた国なので、ザビエルは「仏教の本場から来た偉いお坊さん」と勘違いされたのです。さらにアンジロウがキリスト教の神様のことを「大日(大日如来という仏様のこと)」と日本語訳したものだから、ザビエルは「大日を信じなさい」と言っていることになり、ますます仏教のお坊さん感がアップ。ヘアスタイルもお坊さんっぽかったせいか、誤解に気づく人もいません。
薩摩の僧侶たちはザビエルを大歓迎してお寺にまねき「大日様って、スゴイよね~」などと意気投合します。
ところが、話題が僧侶たちの恋愛事情におよぶと事態が急変。当時の僧侶は女性と恋愛禁止でしたが、男性どうしの恋愛はOKでした。しかしキリスト教ではNGだったので、ザビエルが「そんな恋愛ダメ、絶対!」と怒ったのです。
僧侶たちはようやく「あれ、これ宗教が違うんじゃない?」と気づき「おれたちの恋をバカにするな!」と激怒して、ザビエルたちを薩摩から追い出しました。
誤解に気づいたザビエルは、その後神様のことを「大日」ではなく「デウス」とラテン語で呼ぶようになったそうです。
時代:戦国時代
身分:司祭、宣教師
出身:スペイン
称号:バテレン
イエズス会の宣教師。20才のときパリ大学に入学しキリスト教を学んだのち、日本やインドにキリスト教を広めた。ちなみに、ザビエルの髪型は、はげているのではなく「トンスラ」というキリスト教特有のもの。
(本原稿は、東京大学史料編纂所教授 本郷和人監修『東大教授がおしえる やばい日本史』の内容を編集して掲載しています)