UberやLyftといったシェアライド(相乗り)サービスがマンハッタンの渋滞を悪化させている、という指摘を最近米ニューヨークでよく聞く。地下鉄からシフトする利用客が増え、それが街中の車の数を増加させているという主張だ。
これには反論も聞かれるが、実際筆者も出張時に以前なら地下鉄で移動していたケースで、シェアライドの車を呼ぶことがある。
地下鉄よりもちろん高いが、時間帯によってはタクシーより圧倒的に安い。清潔で快適な車が多く、しかも運転手は利用客のレーティング(評価)を気にして親切だ。時差ボケで眠いときに車内で安心して一休みできる点はありがたい。
だが、シェアライドの利用料金が安いということは、運転手の手取りが少ないことを意味している。ガソリン代などの諸経費を引けば、最低賃金より低くなる事例が多い(ニューヨーク市はシェアライドの運営会社に、運転手の収入が最低賃金に届くよう補填を命じる決定を行った)。
他方で、売り上げをシェアライドに大きく奪われているタクシー運転手の所得も伸び悩んでいると推察される。失業していた人がシェアライドの運転手を始めれば、統計上は失業率が低下する。しかし、この場合の失業率低下が賃金を押し上げる力は弱い。