船も焼き鳥も自分たちでつくる

「つくる」はかたちあるもの、製品を製造することばかりを指すのではない。
 かたちのない企画やソフトをつくることにも当てはまる。

 私が携わった仕事でいえば、次のようなものをつくった。
 博多と大分を結ぶ特急列車の事業では、車両イメージを由布院の識者の方々と膝を交え、考え、つくった。そして「ゆふいんの森」という列車をつくった。

 船舶事業では、九州と韓国を結ぶ航路を韓国鉄道庁とともにつくった。そして高速船のイメージを水戸岡さんとともにつくり、「ビートル(BEETLE)」という船をつくった。

 外食事業では、カレーや焼き鳥を「手づくり」することをすすめたし、その志そのものをつくったと思っている。

 営業部長時代には、大手広告代理店がもちこんでくる広告やテレビCMのアイデアがどうにもつまらないから、「キミたち、自分で考えなさい」と社員に発破をかけた。

 思い起こせば私だって、大手広告代理店のプランではどうもピンとという理由で、「キミがやりなよ」と、当時の社長や上司からしばしばいわれたものだ。

 自分たちが働く会社にかかわるものを、自分たちの手でつくる。

 そうすることは、自分たちの仕事を客観的に見つめ、分析の機会を得て、そしてより自社商品への愛着を深めることにつながるのだ。

 なんでも自前でつくることを前提にしておくと、またそのような思考を習慣化しておくと、社員は皆いかなる場面でも、自分たちの手でつくり出そうと考えるようになる。

 ちなみに、「つくる2016」の“2016”は、東証一部上場の期限を決めたものだった。

 いつまでも「いつかは上場するぞー」ではダメ。

 期限を決めて「きっちり上場するのだ!」という気運をまずつくったのだ。