このことは、就業者を職業別に分類してみても、専門職・技師の割合が少ないことでもわかる。
代わりに、事務補助員、サービス・販売員、単純作業の従業者は多目である。
これだけで確定的なことは言えないとしても、スキルが求められる職業の割合が低く、サービス業従業者などの汎用性のある職業の割合が高いことは、日本でスキルを重視した職業が少ないことをうかがわせる。
また、就業者の労働形態では日本は短時間労働者の割合が高く、かつ短時間労働者はフルタイム労働者の賃金の56.6%の水準しか受け取っていない(図表3)。このフルタイムとパートタイムとの賃金格差は欧州諸国と比べても大きい。
◆図表3:就業者に占める短時間労働者の割合(2016年)
高齢化のトレンドは逆風
低賃金の短時間労働者増える
今後、日本の高齢化が進んでいくと、企業内の人員構成は50・60歳代のウエイトが高まるだろう。そのとき、現在よりも、技能・専門職が増えていき、企業の高付加価値化は進むのだろうか。
2015年の総務省「国勢調査」では、55~59歳の雇用者の非正規比率は26.0%だが、60~64歳になると36.3%、65~69歳では39.0%と上昇していく。このデータは、企業内人口構成がシニア化するほど非正規する傾向を示している。
日本は短時間労働者の割合が高く、しかも低賃金であることは述べたが、おそらく、これはサービス化と高齢化に伴う変化ともいえよう。そうであるなら、今後、低賃金の短時間労働者が増える傾向がますます強まると考えた方がよい。
このことは日本が今後、生産性を高めていく場合の大きな課題になる。
また、産業別にみて、生産性上昇を牽引するセクターが見当たらないことも述べた。製造業は、米国やドイツに比べると、まだ劣位にある。
今後、非価格競争力を高めてさらに突出した生産性を目指すことが課題だろう。成長戦略として、貿易連携などを軸に、日本の強いところを伸ばしていく構想も求められる。
(第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト 熊野英生)




