確かにその女性は、ネット系の証券会社から情け容赦のない目に遭わされていたのだが、筆者が驚いたのは、女性の被害をネタに、「その会社からいかにして金をとろうか」ということについて話し合っていたことだ。

 女性を安心・信用させるためか、元国会議員は、その場で金融庁の官僚に電話を掛けるというパフォーマンスをし、さらに、「今の財政担当相とは付き合いが長いから、話をつないであげますよ」と、女性に告げた。その女性は、何度も「ありがとうございます」とお礼を言っていた。

 すると、すかさず初老のブローカーは、「こういうケースは、いろいろな人を動かさなければいけないから大変なんです。成功報酬としてこれぐらいはもらわないとやれません」と言って被害額の約半分を要求、それに対し女性は、「もちろんです、もちろんです」と答えていた。

 さすがに世間知らずな筆者も危機察知能力が働き、女性には申し訳なかったが、一目散にその場を後にした。そのため、話し合いがどのような結論に至ったのか分からなかったが、数年後、初老のブローカーが詐欺罪で逮捕されたと聞き、自分がいかに危険な場所にいたのか思い知らされた。

 このようなブローカーは以前からいたのだが、ある種、限られた人たちの牙城に、谷口のような新世代ブローカーが入り込むことができたのは、やはり政権交代という大混乱に乗じてのことだったのではないかと考えている。彼らが最も活躍し、存在感を発揮できるのは、政局が大きく動くときだからだ。

 ある古参の秘書は、こんな話をしてくれた。

「利権が絡み、なおかつ勝敗の行方が不透明なとき、確実にブローカーは動く。いわゆる郵政選挙時のブローカーの活躍は、今でも語り草。それこそ、夜の会合の宴席に始まり、キーマンとなる政治家と官僚の橋渡し、態度を曖昧にしていた政治家の猟官活動まで、舞台裏でさまざまなブローカーが動いていた」