仕事を「やりとげる」ために
段取りをしよう

 もうひとつ、段取りをする理由は、仕事を「やりとげる」ためです。

 クリエイティブディレクターという仕事は、アイデアを出しただけで認めてもらえる仕事ではありません。きちんとかたちにして、世に出すところまでが仕事です。
 そのときにきちんと段取りができていれば、途中で頓挫したり、空中分解したりするようなことはありません。

 独立して自分で会社をはじめてからは、特に「やりとげる」ことへの責任感が芽生えました。
 どんなにいいアイデアでも、どんなに素敵なデザインでも、かたちにして世に出さなければ意味がない。当然、お金にもならない。「やりとげる」ということはとても大切なことなのです。

●やるべきことに漏れがないか
●目標に的確にアプローチする手を打っているか

 そして、
●やるべきことをタイムスケジュールにあわせてきっちりと詰めて、実行できるか

 こうした「段取り」があってこそ最後までやりとげることができるし、ようやく「仕事をした」となります。

 プロジェクトを「はじめる」ことはできても、最後まで「やりとげる」力のある人は案外少ないのではないでしょうか?段取りを行なうことで、その他大勢の人と差をつけることができるはずです。

 具体的な段取りのやり方やコツなどについては、この連載の第2回以後でご紹介します。

水野学(みずの・まなぶ)
good design company代表。クリエイティブディレクター、クリエイティブコンサルタント
ゼロからのブランドづくりをはじめ、ロゴ制作、商品企画、パッケージデザイン、インテリアデザイン、コンサルティングまでをトータルに手がける。
おもな仕事に、相鉄グループ「デザインブランドアッププロジェクト」、熊本県「くまモン」、中川政七商店、久原本家「茅乃舎」、イオンリテール「HOME COORDY」、東京ミッドタウン、オイシックス・ラ・大地「Oisix」、興和「TENERITA」「FLANDERS LINEN」、黒木本店、NTTドコモ「iD」、農林水産省CI、宇多田ヒカル「SINGLE COLLECTION VOL.2」、首都高速道路「東京スマートドライバー」など。
ブランド「THE」の企画運営も手がける。The One Show金賞、D&AD銀賞、CLIO銀賞、London International Awards金賞ほか受賞多数。
著書に『「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』(誠文堂新光社)、『センスは知識からはじまる』『アウトプットのスイッチ』『アイデアの接着剤』(すべて朝日新聞出版)などがある。