「時間ボックス」をイメージする

しんどいか、ラクかは考えない。「時間箱」に詰めるだけの、段取り仕事術水野学(みずの・まなぶ)
good design company代表。クリエイティブディレクター、クリエイティブコンサルタント。
ゼロからのブランドづくりをはじめ、ロゴ制作、商品企画、パッケージデザイン、インテリアデザイン、コンサルティングまでをトータルに手がける。
おもな仕事に、相鉄グループ「デザインブランドアッププロジェクト」、熊本県「くまモン」、中川政七商店、久原本家「茅乃舎」、イオンリテール「HOME COORDY」、東京ミッドタウン、オイシックス・ラ・大地「Oisix」、興和「TENERITA」「FLANDERS LINEN」、黒木本店、NTTドコモ「iD」、農林水産省CI、宇多田ヒカル「SINGLE COLLECTION VOL.2」、首都高速道路「東京スマートドライバー」など。著書に『「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』(誠文堂新光社)、『センスは知識からはじまる』『アウトプットのスイッチ』『アイデアの接着剤』(すべて朝日新聞出版)などがある。

 ぼくは、どんな仕事でもまず「時間ボックス」をイメージします。

「3日」「1週間」「1年」など、さまざまなサイズの時間ボックスのなかからよさそうなものを選び、そのなかに「これと、これと、これをやれば完成」という仕事のタスクをはめ込んでいくのです。

しんどいか、ラクかは考えない。「時間箱」に詰めるだけの、段取り仕事術時間ボックスのイメージ
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 自分が手がけている仕事やプロジェクトがAとB、2つあるとしたら、それぞれにふさわしい時間ボックスのサイズがあるはずです。

「プロジェクトAは1週間くらいかかるな」と思ったら、そのくらいのサイズの時間ボックスを選び、プレ締め切りから逆算して、1週間前からスタートする。

「プロジェクトBは1ヶ月」と思ったら、同じように1ヶ月程度の時間ボックスを選びますが、AとBが重なっているなら「いや、1ヶ月半の時間ボックスを選んだほうがいい」となるかもしれません。

「このプロジェクトにおいてやるべきことは何で、どのくらいの量があるか?」

 これには予測する力が必要です。最終のイメージづくりや準備がきちんとできていればいるほど、予測力は正確なものになります。

「予測したやるべきことにふさわしい時間ボックスは、どのサイズか?」

 これを決めるのは、スケジュール力。時間の見積もりとも言えるかもしれません。

「麻雀」のように機械的に考える

 時間ではかった仕事を時間ボックスに詰めていくときは、優先順位も考える必要がありますが、ぼくはこれもビジュアル化してとらえています。

 いろいろな仕事が、麻雀の牌のように、すべてずらりと並んでいるところを想像するのです。

 自分の仕事の牌は左からプライオリティが高い順に並んでいるのですが、クライアントやスタッフもそれぞれ仕事の牌をもっていて、「これをお願いします」と別の仕事の牌を出してきます。

 そうしたらひとつの牌を片づけてカチャッとスペースを空け、優先順位を考えてふさわしい順番のところに入れます。

「仕事の牌の優先順位」といっても、「重要度」ではありません。
ここも「早くやらなければいけないもの順」です。

 仕事を内容ではなく時間ではかっているという点では、「テトリス」も「麻雀」も同じイメージです。新しい牌をどこに入れればいいかを決めるには、それぞれの仕事の優先順位を正確に把握していなければなりません。