努力させる内容は、大学の成績、英語の勉強、サークル活動、ボランティア活動、資格の取得など何でもいい。「何もせずに遊んでばかりいたら初任給が下がる」ということだけは各社共通だろうから、それだけで学生の遊ぶ時間は格段に減るはずだ。

 筆者自身、入社後に企業派遣で留学したときの方が、学生時代よりもはるかに勉強した。人事考課の対象だからだ。それと同じ効果を大学生に期待するのだ。

ルールの撤廃には反対だが
「災い転じて福となす」を期待

 上記のように1年生に内定を出す企業を、仮にA社としよう。A社に内定をもらった学生は、充実した学生生活を送るに違いない。そうなると、他社が「わが社にぜひ!」と誘ってくるに違いない。それをA社としては、いかに防げばいいのか。

 1つの選択肢は、「充分な奨学金を貸与する。卒業後に入社すれば返済は免除するが、入社しなければ返済してもらう」という手だ。これは、内定辞退の大きな抑止力となる。

 極めて優秀な学生であれば、ライバル会社から「A社に借りた奨学金は代わりに返済してあげるから、わが社においで」と言われるかもしれないが、そこまでの事例は稀だろう。

 もう1つの選択肢は、夏休みと春休みは社員並みの待遇で仕事をさせるというものだ。それにより、学生と企業がお互いをよりよく理解するようになる。A社が合わないと感じた学生は、内定を辞退すればいい。そうなれば、企業にとっても新入社員に退職されるリスクが減るメリットとなる。

 A社を気に入った学生は入社を決意し、それと同時に会社で必要とされる物が何であるかを理解しようと努めるはずだ。英語なのか簿記の資格なのか、コミュニケーション能力なのか、物事を論理的に考える力なのか。A社から伝えられた希望と、自分で感じ取った事柄を総合的に考えながら、学生生活をいかに過ごすかを自分で決めればいいのだ。

 収入の面でも、夏休みと冬休みに新入社員並みの給料が受け取れるのであれば、アルバイトよりいい収入になるだろう。必要とあらば、加えて奨学金を貸与するという選択肢もある。

 A社のような企業が優秀な学生を早期に囲い込むようになれば、他社も追随するようになり、「日本の大学生も勉強するようになった」と言われるようになる可能性も高い。

 上記のように、筆者は今回の「就活ルール」の撤廃には反対だが、仮に撤廃された場合には、「災い転じて福となす」ことを期待したいと思う。

 なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の勤務先などの見解ではないことを付け加えておく。