「民間企業で働きたい…」
障害者側も行政をイヤがる理由

 行政側は現在、障害者の大半を非常勤で採用しているが、今回の一件で、一定数を「障害者枠の常勤職員」として採用する新たな試験を、今年度中に実施する方針を示した。

 しかし、違反雇用率是正のためだけの数字合わせは、根本的な問題解決にはならず、採用される障害者にとっても気の毒な話である。「行政には、障害者に適した仕事が少ない」というのが、水増し横行の背景にあったとされるが、障害の種類によっては、できる仕事はある。行政側から経験値のある民間企業に詣でて、障害者雇用についてのアドバイスをもらうべきではないだろうか。

 政府は10月中に弁護士ら5人の第三者検証委員会からの報告を基に、再発防止策や雇用確保策を示す計画を立てるとしている。しかし、検証委員会に障害者や支援団体の関係者はいないため、現場で起こっている問題や、今後の課題についての声が届くのか、実際のところはわからない。

 そこで行政機関で障害者と同じ職場で働くC氏に、今後の理想的な障害者雇用について聞いてみた。

「これまで省庁には障害者を育てるという意識が乏しかったかもしれません。そう考えると、これから省庁は世間から何を言われようが、障害者雇用は民間に任せて、批判を背負った方がむしろ合理的なんじゃないかとも思います。ある意味暴論ですが、障害者にとっては、長い目で見ると実際には公的機関より大手企業の方が良いと思うんです。最初の一歩のサポートが必要な障害者は、民間でしっかり鍛えてもらう方が、後々のキャリアで有効かもしれません」

 厚労省は年内にも法定雇用率を回復するよう、各機関に求める構えでいる。これまで、水増しでズルをし、苦労なく乗り切ってきた行政側が、初めて障害者雇用の本当の難しさに直面するのだ。これは、障害者雇用の現場をかく乱する大きな要因になり得るが、一方で制度を見直すいいチャンスでもある。

 国が本当に「一億総活躍社会」を目指す気があるのなら、数値目標を課して体裁だけ取り繕うのではなく、無理のある制度は廃止して、一日も早く実効性の高い法制度に改正するべきではないだろうか。