上久保ゼミ生撮影、2016年6月

 立命館大学政策科学部・上久保ゼミでは、2016~17年の2年間、ある学生(現在は卒業)が外国人技能実習制度の問題に切り込んだ。この写真は、その学生が2016年6月に外国人技能実習生の調査を行った時に撮影したものである。外国人技能実習生を受け入れた企業・農家に学生がインタビューを依頼したが、ことごとく断られた。業を煮やした学生は、遂にノー・アポイントで取材を敢行した。その結果、なぜ企業が学生の訪問を頑なに拒み続けたか、理由がはっきりとわかった。冷暖房などの設備のないトラックのコンテナの中で、ベトナム人技能実習生が3年間生活していた事実が判明したのである。

 技能実習制度は、さまざまな人権リスクが起きやすい制度設計になっている。繰り返すが、技能実習制度は労働人口の減少や若年層の高学歴化、大企業志向などからくる人材不足に対する中小企業の生き残り策として存在している。そのため、技能実習生は日本人が就労したがらない労働分野での補完的役割を担っている。

 だが、日本の中小企業における労働組合の組織率はわずか1%と圧倒的に低い。本来、労働者の人権や労働環境を守るための組織である労働組合が中小企業にないことが、仕事の効率ばかりを優先させ、労働者の権利を疎かにする環境につながっている。

 その上、「3年間だけ日本国内に滞在を認める」という縛りがある。制度上、外国人労働者のための社会参加は考えられておらず、技能実習生たちの社会的孤立を高めてしまうことになる。結果として、パスポートの取り上げや賃金未払い、労働基準を超す長時間労働など、最悪死に至らしめるさまざまな人権リスクが起きやすくなっている。

 さらに言えば、この学生が、技能実習生の送り出し国に訪問してフィールドワークした結果、わかったことがある。技能実習生を送り出す国に、「悪徳仲介業者」が存在し、それが現地のマフィアと結託し、貧困にあえぐ非熟練動労者をほとんど人身売買のように日本に送り込んでいる実態だ。