皆さん、こんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
11月6日に行われた米国の中間選挙は、大方の予想通り、上院は共和党が多数を維持し、下院は民主党が勝利する結果となりました。米議会は、上院と下院で多数党が異なる、いわゆる「ねじれ」状態となりますが、トランプ大統領にとってはほぼ想定通りであり、これによって自らの政権がレームダック化するとは考えていないでしょう。
確かに予算を中心に民主党の協力がこれまで以上に必要になりましたが、そこはその時々の情勢に応じてトランプ大統領は様々な“ディール“(取引)を仕掛けてくると見られます。そこで今回は、トランプ大統領が、今後どのような舵取りを見せるのかについて、考察しました。
「ねじれ」状態によって、
景況感に変化が起きる可能性は?
注目すべき点は、3つあります。今後の予算や財政政策の行方、次に企業や消費者の景況感(センチメント)、そして最後が弾劾リスクです。
このうち、最初に変化が生じる可能性が高いのは、景況感でしょう。2016年の大統領選挙以降、共和党支持者の消費センチメントや中小企業経営者のマインドは異常に盛り上がり、現在に至っています。トランプ政権の機能不全が意識されることで、こうした人たちの楽観論が、どれほど後退するのか注意が必要です。
もっとも、議会が「ねじれ」状態になったからといって、これまでに決定した景気対策が打ち止めになるわけではありません。仮に、議会がトランプ大統領の政策を否定するような法案を可決したとしても、大統領は拒否権によって全て覆すことが可能です。さらに、以下に述べるとおり、財政政策が完全に否定されるわけではなく、トランプ大統領が民主党にすり寄ることで、いくつかのディールが成立する可能性は十分にあります。これらを踏まえると、景気に変調をもたらすほどセンチメントが急変することは、現状ではないと言って差し支えないでしょう。