焦点が定まっていない増税対策
商品券の効果は限定的

 問題は、それに加えて、住宅の取得や改築、自動車などの耐久消費財購入の際の減税や、さらにはクレジットカードなどで代金を支払った利用者に対し、代金の5%をポイントで還元したり、低所得者に対してはプレミアム商品券を配布したりすることもあわせて検討されていることだ。

 だが税金を使っての政策である以上、「論理(スジ)が通り、効果が期待され、公平で国民が納得するもの」でなければならない。

 今検討されている対策はバラマキ・無駄金と言わざるを得ない。単年度だから許されるというものでもない。

 翻って見ると、軽減税率は、多くの食料支出をする高所得者ほど有利な制度で、国民や事業者、国税当局に多大のコストをかけるものだ。欧州では、EU委員会など何度も軽減税率の非効率性を指摘してきた歴史がある。

 12年の税・社会保障一体改革の「3党合意」や税制改革法では、「低所得者対策として、給付付き税額控除か軽減税率の導入を検討する、それまでの間は簡素な給付措置で対応する」とされた。

 つまり軽減税率は、低所得者への給付・給付付き税額控除の代わりに導入されたものである。

 軽減税率に加えて、商品券などの「給付」も行うということになれば、あまりに過剰ではないか。

 政策目的も、小売事業者の近代化の促進から、キャッシュレス化の推進(ポイント還元)、さらには地方商店街の振興(プレミアム商品券)など焦点が定まらない。

 商品券の交付はキャッシュレス化と明確にバッティングする。どちらを取るのかという優先順位もはっきりしない。

 商品券の効果が限定的であるというのは多くのエコノミストのコンセンサスだ。

 また小売りの現場などでは、複雑さが増し、中小小売店などの店頭での混乱も予想される。

 ポイント還元は、クレジットカードや電子マネーによる利用を想定するというが、ポイントが付かないカードもあるし、対象事業者は中小店で、大手の百貨店やスーパーは対象にならないという。公平で国民が納得するものなのか、疑問が残る。

 消費者も混乱するだろうし、5%のポイントを還元すると、消費税率はいまの8%から5%になるようなものだ。軽減税率が適用される食料品などは税負担が3%になるということをどう考えるのか。

「対策」には多くの疑問や課題がある。