また、B型肝炎も、内服薬によりウイルス量を低下させ、肝炎の発症を予防することができるようになりました。ただし、B型の場合は、ウイルスを完全に排泄することができず、薬剤の服用を止めると肝炎が再燃して急激に悪化する場合があるため、服用を自己中止できません。

 いずれにしても、肝臓がんの主原因であるB型肝炎、C型肝炎に対する有効な治療薬が開発されたことにより、肝臓がんの発生はさらに減少していくことが期待されます。

肝臓がんは減少傾向にあるのに、
なぜ侮ってはいけないのか

 肝炎ウイルスの予防および治療技術の発展により、さらなる減少が期待されている肝臓がんですが、ここにきて新たな肝臓がんの発症リスクが注目されています。肝炎ウイルス感染やアルコール常習などの慢性肝炎の原因を持たない方の肝硬変や肝臓がんは、むしろ増加傾向にあるのです。

 その病態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もしくは非アルコール性脂肪肝(NASH)と呼ばれる病状に起因します。これらは、いわゆる生活習慣の乱れによる内臓脂肪蓄積症、すなわちメタボリックシンドロームと同様の理由で発症します。

 メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の過度の蓄積により、高血圧、糖尿病などが発症して動脈硬化が進み、ひいては心筋梗塞や脳卒中などの致死的な血管病の発症につながることから注意喚起されるものです。アルコールを飲まなくても、メタボリックシンドロームに陥る場合と同様、過食や運動不足によって生じる脂肪肝から肝臓がんが発症する方が増えています。人間ドックを受ける方の、実に30~40%の方が非アルコール性脂肪肝に罹患していると言われており、推計で1000万~2000万人の潜在患者がいると考えられています。

 原因は、食生活を主とした生活習慣の乱れ、ストレス、運動不足など、まさにメタボリックシンドロームの原因と同じです。腸内細菌の乱れから肝臓に脂肪が蓄積されやすくなることも指摘されています。男性は40代から40%以上の方にNAFLDが認められると報告されています。女性は40代ではあまり見られないようですが60代には30%以上の方がNAFLDを発症しています。