NAFLDを発症して、慢性肝炎が持続すると、肝炎ウイルスが感染したのと同様に肝臓の細胞の破壊とその再生による線維化が繰り返され、しまいには肝硬変になります。NAFLDを放置すると10年くらいで20%の方が肝硬変になり、肝硬変になると年数%の割合で肝臓がんが発生します。アルコールをそれほど大量に飲む習慣がない(1日ビール大瓶1本以内)から自分の肝臓は問題がないとはいえません。

 脂肪肝はそれ自体あまり深刻視されていませんでしたが、肝臓がんに関連する可能性があることからその対策の重要性が強調されています。肝臓がんは他のがんに比べて治療後の再発率が高く(治療5年後の再発率80%)、生存率が低い(5年相対生存率30%前後)ことを考えれば、その予防、すなわち脂肪肝の改善が非常に大切です。

5年相対生存率の推移参照:国立がん研究センターがん対策情報センター 拡大画像表示

1日5分のスクワットから始める
「NAFLD」の治療法

 食事運動療法で体重を7%程度落とせば非アルコール性脂肪肝は改善するという科学的根拠があります。肝硬変の手前の病態である肝線維化も10%の減量で改善すると報告されています。また、筋肉は「第2の肝臓」とも呼ばれ、筋肉が増えると代謝が改善します。

 特に骨格筋は全身の7割の糖質を消費するとされており、例えばスクワットを1日5分くらい行うことを継続すればNAFLDは確実に改善していきます。腸内細菌のコンディションを維持するためには緑黄色野菜や食物繊維の摂取が大切です。食事運動療法により半年から1年かけて体重を7~10%減量させられればNAFLDは消失します。

 すなわち、NAFLD由来の肝臓がんにおいては、「薬物による治療」ではなく、こうした皆さんの「日常生活の改善」こそが、その発症を予防する唯一の方法なのです。

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)