目を洗うと大事な油層や
角膜保護成分を洗い流してしまう

テレビのコマーシャルなどで、「花粉症の時は目を洗いましょう」などといって、ホウ酸などで目を洗う容器が宣伝されています。これもとんでもないことです。目の大事な油層や角膜保護成分を洗い流し、目に汚い「汚染液」をいきわたらせることになります。私からみたら冗談としか思えません。こうした薬もどきが、目の病気を増やしています。

以前に訪問したことのある地方の眼科医院で、目を洗っている施設がありました。毎日患者を来院させては、何十人も並べて膿盆を目の下にあてがって、看護師がホウ酸で次々と洗っているのです。患者にしてみれば気持ちが良いのでしょうが、目の有用な成分が洗い流されるので、目の病気はかえって治らなくなります。

その結果、患者は毎日その医院に通うことになります。一人の医師で患者を300人以上も診ているそうです。病気は治りませんが、毎日来ると洗ってもらえて目が気持ち良いという訳です。「生かさず殺さず」といった皮肉な状況です。怖いものです。患者さんにはぜひ、正しい情報を知って、自らの目を守っていただきたいと思います。

プールで泳ぐ時は必ず、裸眼は避けて、水泳用のゴーグルを着けて泳いでください。そして、プールから上がったら、ゴーグルを着けたままシャワーを浴びて、そのあとにタオルで拭いてからゴーグルを外せば、目は汚染から守られます。

あえて「目を洗わなければならない」状況を挙げるとすれば、目の中に異物や埃が入ってしまった時には、洗わざるを得ないこともあります。しかし、避けたいことにはかわりありません。これを防ぐためには、埃やちりの多い場所ではメガネを掛けることです。大きめのメガネであれば、より効果的です。