エンジニアとしては大した技術力を持っていませんでしたが、ノーツ移行を実際に行えるエンジニアの絶対数が少なかったことと、その一方でノーツユーザーが日本にはたくさんいたことが重なって、私には非常にたくさんのオファーが寄せられました。その仕事をひたすら続けることで、私には「ロータス・ノーツ移行のスペシャリスト」というタグが付き、さらにその移行ビジネスそのものがどんどんパートナーの間でもメジャーになってきたので、結果的に澤はその道のプロとして各方面からコンサル以外の講演などでもさらに声をかけてもらえるようになりました。

 タグが付くと、仕事が自動的に自分に回ってくるようになります。つまり、競争をバイパスして優先的に自分のところに仕事がやってくるのです。

「え~~、忙しくなりすぎるじゃないか」と思った人もいるでしょう。全ての依頼を受ける前提なら確かにそうですね。でも、この場合は「自分が仕事への関わり方を選べる立場になる」というのがポイントです。

 タグが付いて圧倒的な価値を持っていることを認知されている人は、自分の時間の一部を相手のために切り取るだけでも十分に貢献することができます。「その件の対応は、必要な情報をインプットするから、○○さんにお願いしてもいいかな?」とか「この資料に聞きたい内容は全部書いてあるので、これを持って顧客訪問して、わからなければオンラインで問い合わせてください」といった対応でも相手は受け入れてくれるようになります。

 このレベルにまで自分を高めるために必要なことは、とにかくタグが自分にしっかりと定着するまで継続することです。継続は力なりとはよく言ったもので、とりあえずひたすら続けていけば、周囲の認知を勝ち取りやすくなります。

 認知を得るために大事なのは、アウトプットを併せて行うことです。何か資料を作れば、自分で抱えるのではなく、どんどん外に公開していくのです。そうすれば、「あ、この人にはこんな能力があるんだ」と周囲が気づくことができます。

「そんなことしたら、自分の知見が横取りされるだけでは?」と思うかもしれませんが、そこは狡猾に立ち回りましょう。継続した者にしか分からないノウハウや知見は、自分のところにしっかりため込んでも構いません。なぜならその秘伝のワザは、付け焼刃の人には手に余るものであり、継続した人しか使いこなせないからです。

 肝心な時に頼られるポジションを確立するためにも、どんどん自分を認知してもらうためのアウトプットは大切です。そのアウトプットをする人こそ、信頼を勝ち取ることができますし、より強固にタグを自分に焼き付けることができるわけです。