今回の提携で注目なのは、トヨタ自動車がKDDIの母体の一つである日本移動通信の設立にかかわり、今もKDDIの大株主である中で、ソフトバンクと提携したことです。これは開発競争が従来の関係を超えた総力戦の段階にきたことを意味します。移動中に料理を作って宅配するサービスや、移動中に診察を行う病院送迎サービス、移動型オフィスなどを届けることなどを目指す方向で、将来はグローバル市場への提供も視野に入れているとしています。

 ソフトバンクグループは既に ライドシェア大手のウーバー、シンガポールのGrabや車載用に期待される半導体企業などに対し大規模に出資しています。今回の提携で両社の協調姿勢が強まれば、トヨタ自動車が自動車の開発、生産、販売、メンテナンスにおける強みや自動運転技術のソフト、ハード両面での技術力を実際の開発や商業化により活用しやすくなると考えられます。ソフトバンクグループと協業する事で、グローバルに付加価値を生み出せる可能性が高まったとみられます。

事業再編の加速が利益率の向上や
株式市場の活性化につながることを期待

 来年も株式市場では、加速が予想される大型買収、提携、撤退などに注目が集まるとみられます。特に買収される側の企業にはプレミアム(時価以上の株価)がつくことが多く、注目が高いと思われます。

 注目される業界としては、例えば自動車関連、小売り関連などがあげられます。自動車業界に変化をもたらすCASEを巡って完成車、及び自動車部品業界の再編の動きは更に加速するとみられます。

 小売業は、今後少子高齢化などから国内市場の拡大があまり期待できない中、深刻な人手不足やネット販売へのシフトなどへの対応を迫られます。10月にユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は、傘下のユニーをドンキホーテホールディングスに売却すると発表するなど、再編の機運は高まっています。競争の厳しいGMS(総合スーパー)、食品スーパー、アパレルなどが注目されます。

 こうした取り組みにより、欧米に比べて低いと言われる日本の生産性が向上し、経済、株式市場が活性化することが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(三井住友アセットマネジメント 調査部 生永正則)