同期カルチャーが根強くあって、「彼は○○年入社だよ」などといった会話が通用する会社の組織文化は、このさん/くんシステムとの親和性も高くなるでしょう。また、縦の序列や指示・命令系統がはっきりしている職場や、「体育会系」などと呼ばれる組織でも、同じような傾向になっているはずです。

同期カルチャーが当たり前に受け入れられている職場で働き続けてきた人には、あまりピンとこないかもしれませんが、「たった1年の年齢差」という仕事とは無関係の条件によって、社内コミュニケーションの様式が大きく変化するというのは、ある意味では、とても特異なことです。

「上司・部下の年齢逆転」現象が起きるより前、つまり、職位と年功の秩序が一致していた時代には、役職呼びというものも存在しました。

「○○部長、△△社のお客様からお電話です」
「××課長、来週の会議資料の件なのですが」

こんな具合です。役職呼びは、組織内の「縦の序列」を不必要に強化してしまうこともあり、かなり見直しが進んでいます。もちろん、いまでも役職呼びを続けている会社もあるでしょう。

一方、たとえ会社が役職呼びを廃止していても、「さん/くんシステム」が存在する限り、やはり縦の序列は職場のなかに根強く残ることになります。これが「さん/くんシステム」の恐ろしいところです。役職で呼ぶことをやめて、フラットな組織を実現したつもりになっていても、実際には古い組織文化が残り続けているわけです。

この問題の解決法は、じつはきわめて簡単です。たったいまから、周囲の人すべてを「さんづけ」にすればいいのです。

実際、外部からの転職者が多く、年齢やキャリアの序列が把握しきれないほどバラバラになっている職場では、年上/年下に関係なく「さんづけ」にするのが一般的(というより、そうせざるを得ない)でしょう。

たとえ職場に「さん/くんシステム」が染みついていても、自分だけは誰に対しても「さんづけ」を貫けばいいのです。最初は違和感がありますが(実際、私もそういう時期がありました)、意外とすぐに慣れるものです。

若手は「あなたの言葉遣い」を見ている

相手の年齢や職位、ジェンダーなどに応じて、言葉の使い方やコミュニケーション、場合によってはマネジメントを変える旧来の慣習は、見直しが進みつつあります。

そうした差異を強調するのではなく、そのまま受け入れる――いわゆるダイバーシティ(Diversity)の考え方です。とくに、いまの若い世代では、職場のダイバーシティに敏感な人が増えています。

[図表3-2]は、ミレニアル世代(1980〜1995年に生まれた人たち)に対して、職場選びの際にダイバーシティをどの程度重視するかを調査した結果です。

職場選びにとってタイバーシティはどれくらい重要?

このとおり、かなりの若者が、職場に「多様性を受け入れる雰囲気」があるかどうかを気にかけているのです。とくに女性にはその傾向が強いことが見て取れます。

「おい、佐藤、あれどうなった?」

こんな言葉遣いをしてしまっていませんか? 若い世代は「先輩、そんな話し方をしているのは恥ずかしいですよ」などとは注意してくれないでしょう。ただし、若者たちはそんなあなたの言動を見ています。