なぜ企業で働く人は、ミドル・シニア期(40・50・60代)に入ると、言い知れぬ「停滞感」を抱き、職場での「居場所」を失っていくのか? 経験談や持論が渦巻くこの領域に、ついに「4700人のビッグリサーチ」による"科学のメス”が入った――。
□ 42.5歳の「壁」を軽々と超える人は、何をしているのか?
□ 50代前半の「霧」のなか、職場内で「居場所感」を得るには?
□ 60代・定年後に「上昇気流」を呼び寄せる人の共通点とは?
史上最大レベルの大規模データに基づき、会社人生を「仕切り直す」22の心構えを導き出した最新刊『会社人生を後悔しない 40代からの仕事術』のなかから、一部抜粋してお送りしよう。
「定年」を意識してしまうと、自ら動けなくなる
前回の記事では「ミドル・シニアの憂鬱」を生み出している「昇進の罠」と「ポストオフの谷」という日本型雇用の2つの特色を見てきました。社会人20年目以降に経験する、この得体の知れない閉塞感は、何も特別なことではなく、こうした構造上の問題によって必然的に生み出されるものだということが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
ここで問題なのは、多くの人が「『憂鬱』を抜け出す方向」にではなく、「価値観を"修正”することで、現状に耐えようとする方向」に舵を切ることにあります。
「仕事だけが人生じゃない……」「別に出世なんかしたくない……」という価値観は、一種の「防衛反応」の結果だとも言えます。
そして、その背景になっているのが、日本型雇用のもう1つの特徴「終身雇用」です。
つまり、この閉塞感は「定年退職まで」という期限つきのものだったのです。定年までの残り10〜15年をじっと耐え忍べば、あとは悠々自適な引退生活が待っている――そんな未来が見えているからこそ、会社員はどれだけ不満があっても、そう簡単には動き出せないようになっているのです。
[図表0-3]のグラフは「キャリアの終わり」に対する意識の変化です。
「終わり」は「定年退職」とほぼ同義でしょう。ご覧のとおり、40代前半までは、「定年を意識していない人」の割合のほうが多いのですが、45.5歳のタイミングから「定年を意識している人」のほうが多くなり、それ以降は「終わり」を考える人が急増しています。
「あと数年耐えよう」という発想は通用しない
これと関連して、もう1つ興味深いデータをご紹介しましょう。
最近は、会社に属さずフリーランスとして働く人も多くなりました。会社員とフリーランスを対象に、それぞれが「重要だと考える能力」を比較したある調査によれば、会社員はほぼあらゆる能力でフリーランスの後塵を拝しています。しかし、会社員のほうが高い数字が出ていたものが"1つだけ”あったのです。何だと思いますか?