いずれも訳は「明子はネコを1匹飼っている」と思っていませんか?ネイティブからすると、この2つの英文はまったく意味が異なるのです。正解はこうなります。

1.明子は1匹ネコを飼っている。
2.明子はネコ肉を持っている。

 1のほうは誰もがわかる答えです。でも2は「えっ、なぜcatが『ネコ肉』の訳になるの?」と思いませんでしたか?

 実は動物の名前には、ちょっとしたトリックがあります。

 一般的に、牛は英語でcow(カウ)、豚はpig(ピッグ)、羊はsheep(シープ)です。

 でも食肉の場合、牛ならbeef(ビーフ)、豚ならpork(ポーク)、羊ならmutton(マトン)となり、動物の名前とは別に「食肉としての名前」に変わります。

 ところが、すべての動物が「食肉名」を持つわけではなく、鳥のchicken(チキン)や鳩のpigeon(ピジョン)には、食肉名がありません。ではこれらの食肉名を言う場合、どうすればいいのでしょうか?

 食肉名がない場合は、冠詞なしの「無冠詞」で表現するのです。そのため「私はトリ肉を食べた」なら、I ate chicken.というように無冠詞になりますし、「明子はネコ肉を持っている」ならAkiko has cat.となるのです!

 つまり動物を無冠詞で使うと、「食肉」と思われる可能性があります。

 もちろん、Akiko has cat.「明子はネコ肉を持っている」なんて、言葉として不自然です。ただ「明子はホラー映画好きの変人だから、ネコの肉ぐらい持っていてもおかしくない」と考える人も、世の中にはいるかもしれません(この場合、明子はかなりの変人ですが…)。

 そして侮るなかれ、何とこの「食肉・英語問題」は、某難関私立高校の入試問題でも出題されたことがあります。問題作成者は、やはりネイティブ教師でした。

 私もそうですが、英語のネイティブ・スピーカーは、日本人が冠詞を平気で抜かしたり間違えたりするのが、すごく気になるのです。

 日本人にとっては、たかが1文字の違い「a」と思っているかもしれませんが、ネイティブにとっては大きな違いなのです。「たかが冠詞、されど冠詞」、その注意を促したくて、ネイティブ教師もあえて入試問題で出題したと思われます(ちなみにこの問題の正答率は非常に低かったそうです)。