今後は、「米国には決して届かない短距離・中距離の核ミサイルが日本に向けてズラリと並んだ状態でとりあえずの問題解決とする」(第166回)という状況が出現し、韓国、中国、ロシアがなし崩しに北朝鮮への経済協力を始めるという、日本にとっては最悪なものとなる可能性が高い。

アメリカファーストと
ロシアの関係を読み解く

 次に、ロシアについて考える。元々、トランプ大統領は米大統領選で「ロシアとの関係改善の必要性」を訴えていた。しかし、当選後には大統領の親ロシア姿勢の背景には、ロシアとの「不適切な関係」があると指摘されるようになった。

 米大統領選でトランプ候補(当時)を勝利させるために、ロシアがサイバー攻撃やSNSを使った世論工作、選挙干渉を行ったとささやかれるようになった。また、トランプ候補がロシアに対して「対ロ制裁緩和の密約」「FBIに対する捜査妨害」それに「テロ関連情報の機密漏洩」を行ったとの疑惑が浮上した。

 政権発足直後の2017年2月に、いきなりマイケル・フリン大統領補佐官がこの問題に関連して辞任せざるを得なくなった。ジェフ・セッションズ司法長官、トランプの娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問、大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏、トランプの選挙対策本部長だったポール・マナフォート氏などが次々と、「不適切なロシアとの接触」で追及された。「ロシアゲート事件」は、トランプ政権において最も深刻な「爆弾」の一つとなってきた。

 トランプ大統領は、次第にロシアとの関係に慎重にならざるを得なくなった。今年7月にようやく行われた米露首脳会談で、プーチン露大統領がロシアゲート事件への関与を明確に否定し、トランプ大統領も受け入れる場面はあったが、米国内で激しい批判が起きたことで、トランプ大統領はそれを撤回せざるを得なくなった。8月、トランプ大統領は米議会が成立させた「対ロ制裁強化法」に署名をさせられた。

 米露関係も「4D地政学」で読み解ける。トランプ大統領のロシアに対する「本音」は別としても、サイバー攻撃やSNSによる選挙干渉など、ロシアが米国内を直接攻撃してきたことが、アメリカファーストの米国にとって、絶対に容認できないこととなっているのだ。ロシアは、隙の多い御しやすそうな人物を米国大統領に当選させることに成功し、うまく操ろうとして、調子に乗りすぎたのだ。米国内に手を突っ込もうとして距離を縮めすぎたことで、ロシアは米国の逆鱗に触れたといえる。米露関係は極めて厳しい状況にあり、まさに「史上最悪」であるといえる。