そこで、近年では、せん妄の予防対策が重要視されるようになってきた。

 せん妄は夜間の発症が多いため、順天堂大学医学部付属練馬病院では、特にリスクの高い65歳以上で救急車搬送された人、過去にせん妄を起こしたことがある人が不眠を訴える場合、発症対策としてメラトニン受容体作動薬のラメルテオンを飲んでもらっている。

 研究として臨床試験を実施した結果、プラセボ(偽薬)服用群(34人)のせん妄発症率は32%だったが、ラメルテオン服薬群(33人)では3%と大きな差を見いだした(*5)。「体内時計のリズムを適正化する(睡眠覚醒リズム障害を予防する)ことなどで、せん妄が発生にくくなったと考えています」と八田教授は話している。

 日中にも術後などにせん妄を起こす人はいるが、それも「睡眠の覚醒リズム」との関係で発症しやすい。

 このほか、発症時、家族が落ち着いて行動できるよう、事前にせん妄に関する説明書を配布し、患者や家族に知ってもらう工夫をしている病院もある。

 また、患者がせん妄を起こした場合は不安や恐怖がトリガーとなるため、できるだけ安心できる状況をつくることが大切になる。その日だけ家族が病室に泊まることも効果がある。

*5 Hatta K, et al, Preventive effects of ramelteon on delirium: a randomized placebo-controlled trial. JAMA Psychiatry.2014