モジュール化と国際分業の時代に
昔の価値観で勝ち残るのは難しい

 一方21世紀は、モジュール化と国際的な分業の時代である。聞こえの良い言い方をすれば、オープンイノベーションがもてはやされる時代である。イノベーションとは、そもそも新しい組み合わせによって経済的な利益を生み出す活動を指す言葉であり、新技術開発による技術的イノベーションは、イノベーションの一例でしかない。

 他者が開発した技術であっても、その新しい組み合わせ方を考案したり、新しい組織形態によって事業を運営したり、あるいは新しい市場に製品やサービスを投入したりすることも、経済的な利益が伴えば、立派なイノベーションである。

 日本人は2つの意味で、イノベーションを誤解していることが多い。1つは、自ら開発した技術だけがイノベーションの源泉だと思い込むこと。もう1つは、経済的な利益が伴わなければ、その活動はイノベーションではないということだ。

 非常に優れた技術であって、それが高く評価されていても、企業に収益をもたらさなければ、それはイノベーションではない。ただの新技術である。技術成果と事業成果は異なる。技術成果が事業成果を伴って初めて技術的イノベーションと言えるし、仮に新たな要素技術が伴わなくても、新しい技術の組み合わせ方、導入の仕方によって企業に収益がもたらされれば、それこそがイノベーションと言える。

 技術の変化と普及の速度が速くなった現在、内製と垂直統合だけではその変化に対応できない。世界中に散らばっている技術を集め、新たな組み合わせによって「金儲け」をすることが、オープンイノベーションの本質である。「日本独自の差別化」という大義名分のもとで排他的な垂直統合を目指しても、日本に勝ち目はないだろう。