飲み会の幹事も「創造」活動

飲み会の幹事も「創造」活動!?<br />「消費」する人と「創造」する人との小さな違い原尻淳一(はらじり・じゅんいち)
Harajiri Marketing Design 代表取締役、龍谷大学経済学部 客員教授
1972年埼玉県生まれ。大手広告代理店入社し、主に飲料のブランドマーケティング業務に携わる。その後、エイベックスグループに転職。多くのアーティストのマーケティング戦略、映画「レッドクリフ」の宣伝戦略立案、アニメ「ONE PIECE」のDVD事業戦略立案を行い、大ヒットに導いた。現在はマーケティングコンサルタントとして新規事業立案に取り組むことが多くなっている。また大学教授として知の技法と実践的マーケティングの講義を行っている。著書に『IDEA HACKS!』等、東洋経済ハックシリーズ。近著では『ビジュアル マーケティング・フレームワーク』(日経文庫)がある。日経ビジネススクール講師。環境省や厚生労働省の委員等も歴任している。

もう一例。ブログを書いている人はたくさんいます。
皆さんの中にもいるでしょう。最初は自分の備忘録的に始めたのかもしれません。最初に読んでくれるのは顔が分かる知り合いばかり。
でもいつか、見ず知らずの人がブックマークをしてくれたり、コメントをくれたり、と自分の書いたエントリーが他人の生活の一部になっていく時がやってきます。ブログを読んでくれた人にとって、価値ある何かがあったからでしょう。

小さいけれど、それも自分が満足するだけの消費である段階を超えて、創造の領域に足を踏み入れつつある証拠です。

もっと身近な話で言えば、社内の宴会幹事をやることだって立派な創造になり得ます。

宴会に参加だけという立場であれば、楽しい時間を過ごしたにしても、どこかでは時間とお金を使っている消費行動です。そこで素敵な出逢いがあったとしても、まだ消費の領域でしょう。
一方で幹事をすることは、そうした消費を作り出す側に回ること参加者同士が交流する「場」を生み出すことはすでに創造でしょう。

ただ会場を予約するだけではなく、思わぬゲストを招いて参加者をびっくりさせることもできるし、参加者がそれぞれ人脈を広げるサポートをしてもいい。幹事だけは、その場が持つ意味を最初から設計することができるからです。

創造するもの。それはモノだけに限りません。
人を育てること。感動する言葉を紡ぐこと。楽しい場を準備すること。
それらは小さいけれども、意味のある生産であり、創造です。