暴動の直接の引き金は燃料税
身近な税金負担が増える政策に怒り
フランスの首都・パリで、燃料税の増税に反対するデモが暴動になった。商店からの略奪やクルマに火を放つなどのシーンが世界中に流れ、マクロン政権はやむなく増税の凍結を発表した。
フランスでは年金受給年齢の引き上げや雇用規制の緩和などがここ数年で実施されたが、暴動が起きるまでには至らなかった。
ところが、燃料税という身近な税金の負担が増えるという政策は、国民の怒りを買った。暴動の直接の引き金が燃料税であるという点は非常に興味深い。
過去、フランスは日本同様にガソリン課税を厳しく、軽油課税を緩くする、という燃料税制度をとっていた。フランスでディーゼル乗用車が増えた(新車販売の過半数をディーゼル車が占めていた)理由はここにある。2000年時点での燃料税はガソリンが3.9フラン/リットル、軽油が2.27フラン/リットル(通貨ユーロは02年から)。ガソリン税を1とすると、軽油は0.58という低い税率で優遇されていた。フランスでは、国内で流通するすべての石油製品の税率が基本的に毎年議会決定される。前年踏襲という場合もあるが、近年は少額の値上げが目立つ。今回、マクロン大統領が発表した燃料税引き上げは“臨時”のものではなく、毎年恒例の見直し行事なのである。