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古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第26回は、山田洋次監督が製作した『家族はつらいよ』シリーズのほか、2014年製作の『0.5ミリ』、1960年製作の映画『娘・妻・母』などを基に、社会保障と家族の関係を考えます。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

家族主義の国では
福祉制度は発展しにくい

 小津安二郎が戦前の1936年に作った『一人息子』という映画は冒頭、「人生の悲劇の第一幕は親子になったことに始まっている」という言葉から始まります。さらに「兄弟は他人の始まり」という言葉もありますので、親子や兄弟姉妹、夫婦など家族の関係は親密だけど、面倒な側面を持つということなのかもしれません。

 実際、家族に関する映画や研究書は数え切れないほどあり、小津も『東京物語』など家族を取り上げた映画を数多く作っています。さらに近年では山田洋次監督の『家族はつらいよ』シリーズ、東京物語のストーリーを現代風にアレンジした『東京家族』などがありますが、ここでは社会保障との関係で論じていきましょう。

 福祉国家の比較研究で足跡を残した書籍によると、家族、市場、政府は相互補完的であり、福祉システムの整備を通じて、福祉や介護に関する家庭の責任をどこまで緩和できるか考える必要があるとしています(エスピン=アンデルセン『ポスト工業経済の社会的基礎』『平等と効率の福祉革命』)。つまり、家族の役割が大きい家族主義の国では、福祉制度は発展しにくい面があるというわけです。