ワンマン社長の会社で「ロボット社員化」しないための心得
何でもトップダウンで決まり、現場の人間に裁量の余地があまりないというような職場では、従業員の不満がたまっているため、モチベーションが上がらない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

経営者たちの会で講演をしていると、「従業員の質が落ちている」「モチベーションが上がらなくて困っている」といった声を耳にすることが少なくない。そこで今回は、どうすれば従業員たちのやる気を引き出せる職場になるのか、事例を交えて紹介したい。(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)

 IT機器販売を手がけている経営者のAさんから、最近従業員の質が落ちているような気がしてならないという相談を受けた。さらに詳細を伺っていくと、かつてのように、みんなが一丸となって頑張っていく雰囲気がないのは時代の流れなのだろうと諦めているが、それにしても従業員1人ひとりの活力が感じられないのだという。

 そんな状況に喝を入れようと、Aさんはついムキになって叱咤激励するものの、空回りするばかり。社内の沈滞ムードは一向に改善されないため、Aさんは自分の中でイライラが募って仕方がない。とはいえ言い方一つ誤ってしまうと、従業員からすぐに「パワハラだ!」と騒がれる時代なので、どうしたらいいのかわからず、困っているというものだった。
 
 実はAさんのような悩みを、経営者や管理職から聞くことが少なくない。

「能力」よりも
「心理面」が問題である

 Aさんは「採用の仕方が悪いのかもしれない…」と考え、ここ数年、いろいろと仕組みを変えるなど試行錯誤しているが、改善する兆しが見えない。また、従業員1人ひとりに活力が感じられない状況に悩んでしまったのである。こうした状況を打開したくて、どうしたらいいのかと私にアドバイスを求めてきたわけだ。

 このようなケースで考えなければならないのは、能力の問題よりも心理的な問題だ。能力が30%も引き出されていないか、80%以上も引き出されているか。それはモチベーション次第だ。そのモチベーションは、職場の人間関係や雰囲気の良し悪しによって大きな影響を受ける。