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「働き方」という経営問題―The Future of Work―

ワークライフバランスが気になるのは
「自分の仕事に意味がない」と感じているから

――米国の労働環境調査会社CEOが語る

末岡洋子
2019年2月1日
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金曜朝の30秒アンケートで
従業員の気持ちを知る

Workdayの共同プレジデント兼CFO、ロビン・シスコ氏

 一方で、トップは必ずしも企業文化への投資に対して理解を示さない。企業文化と財務の関係をどうやって示すか? Workdayでは顧客満足度を継続的に測定し、これを1つの指標にしているという。

 WorkdayはGPTW上位の常連で、最新の調査では7位。Workdayで最高財務責任者兼共同プレジデントを務めるロビン・シスコ(Robynne Sisco)氏は、「人はコストの3分の2を占めている。どうやって従業員から最大かつ最善のものを引き出すかは重要だ。我々はそこで、従業員がハッピーにビジネスを進めているかを把握しようと努めている」と語る。その理由について、「従業員がハッピーなら、顧客もハッピーになる。ハッピーな顧客は我々との関係を続け、ビジネスを拡大してくれる」と説明した。同時に、顧客満足度が95%であっても「残りの5%を気にしている。改善点は必ずある。それは我々の責任」とも。同社では幹部が必ず顧客のフィードバックに目を通しているという。

 そのWorkdayも、過去に「つまづいた」ことがある、とシスコ氏は明かす。Workdayの2人の創業者は最初の500人を自ら面接し、会社として目指すビジョン、文化、考え方を理解してもらったが、このやり方では限界がある。急速に世界に拡大した結果、Workdayの文化を失いかけた時期があったというのだ。

 そこで、世界中の人事管理職を本社に呼び、3日間ひたすらWorkdayの文化やビジョンについて伝えた。このプログラムは好評で、成果も出た。コスト面で負担が大きなプログラムだが、現在でも続けているという。「企業文化への投資と考えている」とシスコ氏はいう。

 そのような経験もあり、シスコ氏は企業文化が損なわれ始めた時に「できるだけ早期に、兆候に気がつく必要がある」と助言する。早いほど修正が簡単だからだ。例えば、社内のエレベーターで乗ろうと走ってくる人がいても中の人が待たない、共有スペースを片付けないといったような小さなところから「ほころび」は見えると述べた。

 Workdayは顧客満足度に加え、「フィードバック・フライディ」として従業員の意識や感情を知るために週に1度のアンケートを実践している。毎週金曜日の午前中に実施しているが、中身はというと、WorkdayのSurvey(サーベイ)機能を使い、2問の質問に答えるだけ。30秒もかからないという。得られたデータを分析して、マネージャーには必要と思われる学習コンテンツが送られるなどのサイクルを回しているようだ。

 最後にシスコ氏は、Workdayの前に複数の企業に勤務した経験から、「どんな企業にも何らかの文化がある。文化を起こるに任せておくか、意図的に良い文化を定義して進めていくかは企業次第」と述べた。

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

「働き方」という経営問題―The Future of Work―

人口減少による働き手の不足と経済・社会のグローバル化が、企業経営を取りまく大問題となっている。そのなかで、企業が競争優位性を築くためのキーワードとして浮上しているのが「ワークスタイル変革」だ。識者への取材や企業事例の紹介を通じて、すべての企業と働く人に問われている「働き方」の課題を明らかにしていく。

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