月次決算が軌道に乗ったら、最終目標は「日次決算」へ!

 毎月、予算と実績数値を比較分析するのが通常の予算管理ですが、毎日売上が上がるような業種では、1ヵ月に1度ではなく、1週間単位にまでブレークダウンして週次決算と予算管理をやれば、打つ手が早くよく効くようになります。

 さらにもっと進んで「日次決算」を行なっている企業もあります。

 予算管理は月次ベースで行なうものの、日々の実績が把握できる売上高・売上原価・諸経費と、それ以外の次のような固定費の月発生額を日数で割り算した概算額を使って日次決算を行なっています。減価償却費、賃借料や管理部門の人件費・経費などの固定費は月に1度しか計上されないため、それらの毎日の発生額は概算額で計上します。

 日次決算を導入すると、1件ごとの売上取引について短いサイクルで管理・監督できるようになります。何よりも現場担当者の意識が変わり、赤字受注を避けることもできます。

 日次決算の代表格は、ハマキョウレックス(東証1部上場)です。成熟市場の物流・運送業界で、2011年3月期までの過去5年間で毎年平均5%社員を増やす一方、1人当たり経常利益は約13%増と高い効率性を実現しています。

 同社の大須賀正孝会長が生み出した「収支日計表」は、いくつかの雑誌などに取り上げられて有名になりました。

 物流センターや営業所の拠点ごとに毎日、簡単な損益計算書を作り、赤字か黒字かをチェックしているそうです。これだと売上欲しさに無理な赤字案件を引き受けることがなくなり、経費のどこにムダがあるのか見えやすくなります。人件費だけでなく、保険料、減価償却費なども日割りで計算しているようです。

 04年に買収した近物レックス(旧近鉄物流)のある拠点では、従業員1人ひとりが1日1000円の収支改善を目指す取り組みで、月間180万円のムダ削減に成功したそうです(「日経ヴェリタス」11年10月23日号)。

 日次決算はすべての会社にとって必ず効果があるというわけではないので、最終目標とまではいきませんが、多くの企業にとって非常に参考になると思います。

(本稿は『強い会社をつくる会計の教科書』安本隆晴著からの抜粋です)

 


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