昨年の「M-1グランプリ」にまつわる騒動で、キーワードとなった「更年期障害」。女性の症状としてよく知られているが、実は男性にも更年期障害は起こりうる。特に気をつけるべきは40代以降。きっかけは「仕事」だという。男性の更年期障害について、その実態を専門家に聞いた。(取材・文/フリーライター 有井太郎)
女性だけの病気ではない
「環境次第」で男性をも襲う
年末恒例の漫才イベント「M-1グランプリ」。2018年大会も盛り上がりを見せたが、終幕後にケチがついた。一部の芸人が、審査員を務めた上沼恵美子さんに暴言を吐く動画を載せて炎上したのだ。
キーワードとなったのが「更年期障害」。中年女性に対する誹謗(ひぼう)中傷のニュアンスに聞こえたが、実は男性にも更年期障害は訪れる。
「男性が更年期障害になると、何かをするのが億劫(おっくう)になり、社会で活動する意欲が低下する傾向にあります。場合によっては、うつ症状が出ることも。疲れもたまりやすくなるでしょう。大切なのは、この症状が仕事と密接に関係しており、今後AIなどで仕事の自動化が進むと、更年期障害に悩む男性が増えるかもしれない点です」
こうコメントするのは、順天堂大学の堀江重郎教授(同大 大学院医学研究科 泌尿器外科学教授)。「更年期」とは、性ホルモンが低下する時期を意味するが、それが原因で心身にトラブルを抱えるケースは、女性に限った話ではないという。
「ただし、男性と女性では決定的な差があります。女性は閉経により全員に更年期が訪れます。その期間は閉経前後5年といわれており、女性にとって女性ホルモンが急激に減少するのは、体として正常な動き。一方、男性は環境因子が大きく、男性ホルモンが急激に減少するか、また何歳ごろから何年続くかは、人により異なります」