『週刊ダイヤモンド』2月2日号は「サブスク革命 定額課金の衝撃」です。「サブスクリプション」は継続的に顧客に課金してサービスを利用してもらうというビジネスモデル。ソフトウェアやデジタルコンテンツの配信など、一部の業界に限られていたモデルでしたが、今、製造業などへ一気に広まっています。中でも大手商社の三菱商事が具体的な検討を始めていることは、その象徴的なケースといえるでしょう。特集ではこうした企業の最前線を追いました。(*本記事は特集掲載記事の再編集版です)
「所有」から「利用」へ
物が売れない危機感が背景に
総合商社トップの三菱商事が、家具のサブスクリプションの事業化へ向けて、具体的な検討を進めていることが、本誌の取材で明らかになった。
オリジナルの家具を製造・販売している良品計画の協力を得て、すでに2018年10月から実証実験を開始。これまでモニターとして選定した数十人程度の顧客に対して、実際にサブスクリプション形式で「無印良品」の家具を提供するなどして、事業化の可能性を探ってきた。
家具業界では昨年にサブスクリプションで商品を提供するスタートアップが生まれるなど、長年変わらなかった業界構造に変化が出始めていた。家具業界関係者によれば、その頃から良品計画だけではなく、スウェーデン発祥の大手家具チェーン「イケア」などの業界大手も、サブスクリプション事業へ参入する観測が浮上していたという。
今回、三菱商事が良品計画とタッグを組んで具体的に検討を始めたことで、他の家具メーカーも追随する可能性もある。家具業界内の構造変化が、いよいよ本格的に進むことになりそうだ。
三菱商事がサブスクリプション事業を検討する背景には、「所有から利用へ」という消費者の変化が無視できないほど大きくなってきたからだ。それに加えて、日本は本格的な人口減少社会に突入するため、これまで以上に物が売れなくなることは確実だ。そうした危機感が、サブスクリプション事業の具体的検討へと、背中を押したことは想像に難くない。