コメの生産コスト4分の1にするのが目標

 そもそも私は「農水省はいらない」と思っています。世の中を動かすのは自由な競争です。役人は市場原理をいかに働かせるかをまず考え、どうしても市場メカニズムが機能しないところにだけ介入すればいい。

 スマート農業の補助事業で言えば、企業が及び腰になりがちな基礎研究にこそ予算を割くべきです。私は「(農業ドローンなど)実用化目前のものに予算を付けても市場経済を混乱させるだけだ」と意見してきた。政府はまさにそれをやってしまいましたが…。

ナイルワークスの農業ドローンは農地の上空30~50センチで自動飛行し、薬剤散布と生育診断を同時に行う。住友商事提供

 農業ドローンを使って農家の役に立つ成果が出ているのですから、市場原理で放っておいても普及しますよ。

――補助金を使わないのは自信の表れでもあると。

 はい。農家の収入アップという結果を出せますから。農家が価値を認めてくれれば必ず当社の事業もマネタイズできます。

――ドローン活用により、農業をどう変革しようとしていますか。どんなゴールを定めていますか。

 ドローンの完全自動飛行による農産物の生育診断と農薬などの散布により、コメの生産コストを4分の1にするのが目標です。

 農薬散布量も4分の1にします。現状は通常2~3回撒く除草剤を1回プラスアルファ(枯らし切れなかった箇所のみ散布)ですが、将来は1回にします。

 病害虫を防ぐ殺菌剤や殺虫剤も、1株単位で異変を察知し、初発をピンポイントで叩くことで劇的に使用量を減らせます。

 また、苗を育てて、田植えをするのは非常に手間とコストがかかるので、ドローンから種をまく。これらをやっていけばコストは4分の1にできると考えています。