今や百貨店、家電量販店、ドラッグストア、免税店とさまざまな業態で力を入れるのが化粧品、健康食品だ。“際立つ日本ブランド”が減る傾向にある中で、比較的単価の高い化粧品は日本ブランドの頼みの綱だ。

 銀座には「空港型免税店」という新しい業態ができたが、化粧品と海外のオーソリティブランド以外にも、中国人観光客向けに日本ブランドを陳列したコーナーがある。100年余の歴史を持つ腕時計や、保温・保冷機能付きのステンレスマグは依然人気アイテムだ。しかし、中国では国産ブランドが追い付け追い越せで迫っている。

 ステンレスマグは、中国産ブランドが力をつけている。筆者は中国の高速鉄道駅の待合室で巨大スクリーンに繰り返し映し出される中国産ブランド「SUPOR」の広告に圧倒された。「もはや時代は中国産だ」と洗脳するには十分すぎる迫力と効果がある。このスクリーン広告費は5秒で最低70万元(約1120万円)。製品の超薄型と超軽量を実現する技術力もすごいが、人気女優を起用しての高額な広告費をポンと支払えてしまう「国産メーカー」の資本力も恐れ入る。

 上海の旅行関連企業に駐在する日本人職員は、“日本ブランド信仰”がこの先いつまで続くか心配している。

「時代は『中国で生産し中国で消費する』という大きな流れの中にあることは間違いありません。中国人にとって魅力的な日本ブランドも、技術を移転させたり、企業を買収しながら、いずれは中国産に置き換えられていくでしょう」

日本のインバウンド市場に参入する外国資本

 日本のインバウンド市場には、外国資本の日本ブランドも参入する。前回もこのコラムで取り上げたが、日本や中国、そしてアジアの国々で販路を広げる“中国資本の日本コスメ”もある。

 一方、某大手化粧品メーカーの関係者によれば、「定年退職後、中国企業に再就職する日本人は少なくない」という。ひと昔前は、電機や自動車業界で日本人退職者が中国企業に雇われるといった話をよく聞いたが、ついにそれは化粧品にまで及んでいるというわけだ。

 外国資本には度肝を抜くような健康食品を開発する企業もある。銀座の中国系ドラッグストアでは、納豆のねばり成分であるナットウキナーゼのサプリメントが、通常価格24万8000円で売られていた。目下、セール中につき14万8000円にまで値段は下げられているが、380粒入りで約25万円のナットウキナーゼサプリとは、いったいどんな商品なのだろうか。