食品ロスの原因は
厳格すぎる賞味期限設定

 前述のように自然災害や不正な事件が起こると、多くの人々が食品ロスに大きな関心を寄せ、問題意識を持つようになるが、通常の生活では意識されることは少ない。

なぜ莫大な量の食品ロスが起こっているのか。さまざまな理由が考えられるなか、「『賞味期限』が大きな問題の1つになっている」と、井出氏は指摘する。
 
「賞味期限とは『おいしく食べられる期限』を指しますが、本来よりも短めに設定されていることがほとんど。それは食品の製造工場から出荷される前まではきちんと温度管理していても、いったん出荷されてしまえば、その後どのように管理されるか、メーカー側は把握できないからです。たとえば、店頭で直射日光に当たってしまうケースや、消費者が購入してから車のトランクにずっと保管している場合など、さまざまな理由を考慮して、賞味期限が決められているのです」

 賞味期限の定め方は企業によってさまざまだが、消費者庁は安全係数0.8~1.0未満の数字を用いて設定することを推奨している。

 安全係数を用いるとは、科学的な試験をもとに算出した実際においしく食べられる日数に、1より小さい数をかけて賞味期限を決めるということ。10ヵ月おいしく食べられるカップラーメンの場合、0.8をかけた8ヵ月と、かなり前倒しの数字になるのだ。

 さらにスーパーやコンビニなどの小売店では、あくまでも目安にすぎない賞味期限よりも、さらにもっと手前の日に商品を撤去して返品・廃棄するのだという。これはいったいどういうことなのか。

「食品業界の商慣習として『3分の1ルール』と呼ばれるものがあります。賞味期間全体を3等分して、賞味期限の手前の段階、製造してから3分の2がたった時期に『販売期限』が設けられています。賞味期限が6ヵ月のものだとすると、作ってから4ヵ月で棚から撤去され、廃棄されるのです」

 販売期限の手前にも、製造してから3分の1がたったところに『納品期限』がある。つまり、6ヵ月の賞味期限の商品なら、2ヵ月以内に納品しなければならないというわけだ。ちなみに海外の場合、納品期限に関して、アメリカは2分の1、ヨーロッパ諸国では、3分の2や4分の3に設定されている国が多いという。