開業前の調整が
意外に大変な地下鉄


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 あざみ野と新百合ヶ丘をつなぐことで、横浜と川崎、多摩地域を結ぶ新たな都市軸が形成され、沿線地域の活性化、移動時間の短縮、新幹線へのアクセス強化、また異常時の代替経路としての効果が見込まれるという。川崎市からすると、首都圏有数の混雑路線でありながら、列車の増発や長編成化が困難な南武線の混雑緩和策としての期待も大きいだろう。

 2030年の開業に向けて、これからどのようなステップを踏んでいくのだろうか。

 まずルートの確定が必要になる。今回、新百合ヶ丘への延伸は決定したものの、川崎市麻生区の西側、中央、東側の3案のうち、どのルートを経由するかはまだ確定していない。横浜市と川崎市は、東側ルートが最も整備効果が高い有力ルートであるとしつつも、地元の声を聞きつつ、2019年度中に確定させる方針だという。

 なお東側ルートの場合、事業費は1720億円、1日約7.9万人の利用を想定しており、開業後34年で黒字化する見込みである。

 整備内容が決定すると、事業着手に向けた具体的な準備が始まる。地下鉄建設には大きく2つの手続きが必要になる。まずは鉄道事業法に基づいて国土交通省から鉄道事業の許可を得る手続き、そして都市計画変更の手続きだ。

 都市計画変更の手続きの一環として実施されるのが、環境影響評価法または県条例、市条例が定める環境影響評価(環境アセスメント)だ。騒音や振動、地盤沈下や電波障害など沿線環境への影響について調査、予測、評価を行い、適切な環境保全対策を事業計画に反映させる制度である。