さらに納得できないのは、「税金が流出する側の自治体からの批判」だ。それは東京都など、これまで地方からどんどんヒト、モノ、カネを吸い上げてきた都市部の自治体が訴えていることだからだ。この声を総務省が受け入れるということは、「東京一極集中」がさらに進んだらいいということだろうか。

 結局、野田総務相の発言から見える総務省の本音は、自治体が自らの支配下を離れて、自ら収入を増やし、独自で事業を行う「分権」が進むことが嫌だということだ。「地方分権」はあくまで「建前」に過ぎず、中央集権を死守したいという「本音」が見えるのである。

外国の資金を利用して
公的サービスを行っていた英国

 この連載では以前、英国のディビッド・キャメロン首相(当時)が2010年の政権発足時に打ち出した「大きな社会(Big Society)」という構想を紹介した(第20回)。立命館大学政策科学部の学生とともに、地方の行政サービスを訪問した時、英国の地方自治体では行政サービスの多くの部分を、自治体とNGOなどさまざまな組織が協力して行っているのを見た。

 そして、その財源は税金や補助金だけではなく、富裕層や企業からの「寄付」も利用して賄っていた。企業の中には、地方の中小企業だけではなく、金融、エネルギーなどの多国籍企業体が含まれていた。

 つまり、英国の地方自治体は、海外で企業が儲けた利益も利用してサービスを行っていたといえる。もしかすると、我々日本人が多国籍企業に払ったお金が、英国の地方自治体で行政サービスに化けていた可能性があるということだ。

 これからの時代、日本の地方自治体も、国からの交付金や補助金だけをあてにして、国から管理されて窮屈な全国一律の行政サービスを強いられる状況に甘んじることはない。インターネットが発達した時代だ。知恵を絞って世界中から資金を調達する時代ではないか。泉佐野市は、その先駆的事例と考えるべきである。もちろん、今後はもっと誤解を受けない、品のいいやり方を見つけたほうがいいとは思うが。