一方、ドイツ人のようにいつでも休みを取ることができ、しかも毎年2~3週間のまとまった休みを確保できることがわかっていれば、心のゆとりが生まれる。したがって、ドイツ人の間にはふだんの娯楽にお金をかける人、消費で心の隙間を満たそうとする人は少ない。ドイツ人には休みを利用して2~3週間の旅行に出かける人が多いので、ふだんは多額の出費を抑える必要もある。つまり、ドイツ人と比較すると、我々日本人はまとまった休みを取れないこと、労働時間が長いことによって溜まるストレスを、パーッとお金を使うことで発散しているのではないだろうか。

 これに対してドイツ人にとっての娯楽は、日本人とはずいぶん異なる。彼らが余暇で最も重視しているのは都会でのショッピングではなく、海辺や山で自然を満喫すること、そして家族と一緒の時間を楽しむことだ。ドイツの公的健康保険運営組織DAKが2018年に行ったアンケートによると、「休暇の最大の魅力は、太陽の光と自然」と答えた人が最も多かった。

 アルプス山脈の北側に位置するドイツでは、天気が良い日は少なく、晴天が多い時期は5月から9月までと短い。そのため、屋外での活動を楽しめる時期が限られているのだ。ドイツの一年の平均日照時間は約1500時間。南仏マルセイユ(2858時間)やポルトガルのリスボン(2799時間)などに比べるとはるかに短い。このためドイツ人たちは、晴れの日が多い季節にはなるべく外に出て、太陽の光を浴びようとするのだ。

 このように、ドイツ人は、自然の懐に抱かれながら気分転換をすることが生活の中で重要な位置を占めており、お金をかけずに暮らしを楽しむことができるのである。

ドイツ人が“流行のモノ”に飛びつかないワケ

 我々日本人は、新しい物、流行の先端を行く商品が好きである。ドイツに比べると、日本では新製品に関するコマーシャル、電車内の車内広告などが頻繁に行われる。なぜなら、そうしないと消費者に飽きられてしまうからだ。スマホや車だけでなく、菓子、ビールなどの食品、アルコール飲料に至るまで、絶えずモデルチェンジや増量など新しい工夫が付け加えられ、そのことが大きく宣伝される。このような環境の中で、自由時間が少ない不満から生じる心の隙間を消費によって満たしていると、新しい製品が出るたびに物欲を刺激されて衝動買いをしてしまい、自宅が物で溢れてしまうだろう。

 さらに日本では、古い製品を使っているのは何となく恥ずかしいので、まだ使えるのにお払い箱にすることも多い。物で溢れる自宅を片付けるために古い物をどんどん捨てなければならず、ゴミの量も増えてしまうという悪循環なのだ。