こういうことを避けるためには、1on1ミーティングの「議題(アジェンダ)を決めてしまう」ことが重要です。

 例えば、30分のミーティングであれば、

1. 目標に対しての現状の確認と問題点の特定(10分)
2. 業務上の経験や気づきの振り返り(10分)
3. チームや組織に対する意見や気づき(5分)
4. その他の悩みや相談(5分)

 といった議題で必ず進行するように指定するのです。

 話の内容まで決められていては融通が利かないのではないかと思われるかもしれませんが、アジェンダを最初から決めることで、上司も部下も準備ができますし、時間を無駄にすることなく会話ができます。また実際には、何を話すか分からない状態で上司とミーティングする方が、部下にはストレスがかかるものなのです。

なぜ現代の管理職は、
1on1ミーティングが苦手なのか

 さて、ここまで1on1ミーティングの有効性について解説してきましたが、実は、1on1ミーティングが効果を発揮するには、もう1つ大きな壁があります。

 それは、管理職の「聞く力の不足」です。従来の上司と部下の関係性は、必ず「上下」であり、そのコミュニケーションは、上流から下流に水が流れていくように「上司から部下への指示」がほとんどでした。「部下の話を聞く」という文化のもとで育ってきていないのです。

 また、部下は上司の背中を見て学び、育つという考え方が主流なので、リフレクションによって、部下の経験を学びに変換する手助けをするなどの経験があまりありません。

 これは何も日本においてだけではなく、米国や欧州といった海外の先進国でもおおむね同じ傾向が見られます。ただし、米国などでは、リフレクションによる学びという考え方が早くから定着しているため、上司の「聞く力の改善」に先行して取り組んでいます。

 この「聞く力」こそが1on1ミーティングを成功させるための、絶対的な鍵となります。「聞く力」を考える場合、「積極的に聞く」訓練が重要です。これを「アクティブ・リスニング」といいます。当たり前のことのように思いますが、意外と上司は部下の話を「積極的に」聞けていません。そして、そのことを部下は敏感に感じ取り、「本音」を話さないようになるのです。