高齢者の消費額が安定しているということは、高齢者に物を提供している現役世代の所得も安定しているということになる。現役世代の中で、高齢者向けの仕事をしている人のウエートが上がっていけば、現役世代の所得全体としても安定度を増していく。そうなれば、現役世代の消費額も安定してくるだろう。

 極端な話、現役世代の全員が高齢者の介護をしている経済を考えてみればいい。必要な物はすべて輸入し、輸入代金は海外投資からの利子・配当で賄う、という極端な仮定を置くと、景気は全く変動しない。

 もちろんこれは非現実的な仮定ではあるが、現実の経済が方向として少しずつそれに近づいていくことは間違いないだろう。

在庫循環や設備投資循環は
過去の話

「需要が減少する理由としては、在庫循環、設備投資循環などを挙げる向きもあろうが、筆者はそうは思わない」と前述したが、興味をお持ちの方のために、その理由を示しておく。

 在庫変動が景気を動かしていたのは、製造業が経済に占めるウエートが大きく、かつ在庫管理技術が未熟だった時代であり、最近では在庫変動が景気を動かすとは考えにくい。まして今後、そうした事態は起きないだろう。

 設備投資循環が景気を動かしていたのは、設備の更新サイクルがおおむねそろっていたからだ。一度、景気が拡大して設備投資が盛り上がると、10年ほどして一斉に設備が更新期を迎えるため、景気の波ができていたというわけだ。

 しかし最近では、コンピューターのように更新サイクルが短いものも多いので、更新投資が一斉に起きるわけではなく、設備投資循環が景気を動かすほど明確に表れるとは考えにくいのだ。