「統計庁」設置構想は、結局、後者のデメリットを主な理由として“お蔵入り”となったが、官庁統計の専門性の確保や整合的な体系の構築といったことを考えれば、再び検討の俎上(そじょう)に載せられる余地は十分あるのではないだろうか(もっとも、「庁」である以上、府なりどこかの省なりの外局としてぶら下げる必要があるので、各府省間で綱引きが起こるだろう)。

統計担当部門は
軽んじられている

 各府省の統計担当部門を定員で見てみると、府省によって大きく異なる。平成30年4月1日現在で最大の定員を抱えているのは、農林水産省の613人、次いで総務省の584人、もっとも少ないのは警察庁及び法務省の8人、次いで人事院の12人である。

 渦中の厚生労働省は233人。これは旧厚生省系と旧労働省系を合計したものである。こうした数字を多いと見るか少ないと見るかは、どのような統計を所管しているかによる。人数が多いということはそれだけ多くの統計や規模の大きな統計を所管しているということだ。

 ちなみに「統計なんかにそんな人数を」と考えるのであれば、それは大きな間違いである。

 今の時代「オンライン調査にすれば人を削減できる」と考えるかもしれないが、削減できるのは統計調査員という、統計調査を実施する際に総務大臣等または都道府県知事から任命される「非常勤の国家公務員または地方公務員」にすぎない。彼らは定員には含まれていないし、そもそもその確保が困難で総務省が予算を措置して確保対策事業が行われているぐらいである。

 統計担当部門の定員数の推移は、こちらも各府省によりまちまちであるので一律には言えないが、全体としては微減の傾向にあると言っていいだろう。

 例えば厚生労働省の場合、平成21年4月1日の段階で279人だったが、30年4月1日の段階では233人へと、46人削減されている。

 ここで、各府省の定員の増減は、内閣人事局の査定を経て行われるが、新しい部局の設置や特定の部局の所掌事務の追加等により定員を増やす場合は、他の部局の廃止や定員を減らしてこれを行うというのが基本的なやり方である。また、国全体として、国の行政機関の定員の削減や総人件費改革が進められてきている。

 おそらくこの46人の定員削減は、そうした動きのあおりを食ったのであろう。
要するに、厚生労働省を例にとれば、「統計担当部門は軽んじられている」ということなのであろう。

 加えて、定員の少ない府省であれば、統計分野を専門とする職員は育ちにくいといえる。これは単に統計担当部門の人数だけではなく、各府省の統計部門の位置付け(課レベルなのか部なのか等)や、各府省自体の大きさや所掌事務の範囲の広さ等も加味して考える必要がある。

 そうすると人事ローテーションの在り方や範囲もなんとなく見えてくるので、「育ちにくさ」はよりはっきりしてくる。これにキャリアの数学職、すなわち統計分野を中心に担当する幹部候補の採用人数も加味すれば、育ちにくさに加えて、「育てる意識」の有無や高低も見えてくるだろう。