日本国内のeSportsの状況

 筆者が幼い頃過ごした米国で、初めて所有した家庭用ゲーム機は日本製の任天堂のファミリーコンピューターでした。 最初は軽い気持ちで始めた「スーパーマリオブラザーズ」でしたが、遊び進めていくにつれ、どんどん「もっとクリアしたい」とゲームの魅力に引き込まれてしまいました。さらに、初めて手にしたアクションRPG「ゼルダの伝説」では、謎を解きながらキャラクターの成長を見守るといった、これまでにない楽しさにすっかり魅了されました。

 20年ほどの歳月が過ぎた今、ゲームは、マリオやゼルダの時代よりも複雑化し、オンライン上で複数のプレーヤーが組んだチーム間で対抗する、瞬発力と戦略策定能力が試される場に進化しています。海外では競技性を重視したcompetitive gameとしてスポーツの延長線として位置づけられる一方、日本国内のゲーム市場を見ると、状況は20年前と大きく変わらないようです。 多くのゲームは依然として国内大手ゲーム会社の提供する専用ゲーム・コンソール機を使わなければならないコンテンツであり、さらにその中でもRPGやシミュレーション、パズルゲームといった、個人で楽しめるようなコンテンツが大半を占めています。

 日本における「ゲーム」の考え方は、筆者が幼いころの時代から進展がないにも関わらず、市場規模的には日本のゲーム市場は世界第3位の地位を誇っています【下図】

eSportsは次世代スポーツか、それともゲームのひとつのジャンルか出典:Newzoo 2017 Global Esports Market Reportを基にKPMGコンサルティングにて作成

スポーツとしてのeSports

 eSportsに馴染みの薄い方々においては「eSportsは果たしてスポーツなのか」と疑問を持たれるかと思いますが、私たちは定義次第と考えています。例えば、スポーツを「必ず汗を流すもの」というフィジカル・スポーツと限定すると、現時点でのeSportsはスポーツではありません。しかし、「ルールに基づいたフェアな競技性」という点に焦点を置くと、チェス、将棋、囲碁といったいわゆるマインド・スポーツと同様eSportsもスポーツと定義することができます。さらに多くのeSportsではチームプレイが重視され、チームの一員としての自分の位置づけ、チームの勝利のために個々人が貢献することなど、従来のマインド・スポーツにはない、フィジカル・スポーツで見られる要素を備えています。

 もちろん、eSportsをスポーツの一ジャンルとして考えるのは難しいという意見もあるでしょう。eSportsは全体をさす用語にすぎず、人気のあるコンテンツは戦闘状況を彷彿とさせる戦略対戦ゲームが主流であることから、スポーツ競技として合致するものであるかを慎重に考慮する必要があります。また、ゲーム・コンテンツとしての面白さと、健全な競技性のバランスを成り立たせるために、競技として採用するコンテンツの選定や制作のガイドラインを提示する第3の存在が今後必要とされるかもしれません。