ただし、既存の大きな会社が経営実務にこの考え方を取り入れようとするなら、人事評価や人材管理の方法にも抜本的な見直しが必要になるだろう。
すでに人的資源管理(HRM)の文脈では、「成果を管理するための目標」ではなく、「人のモチベーションや創造性を引き出すための目標」という考え方が生まれている。
「会社の目標」と「個人の目標」をリンクさせることに主眼を置いたOKR(Objectives and Key Results)は、グーグルやインテルが導入した制度として注目を集めているが、これはビジョン・ドリブンな発想と親和性が高い目標管理のあり方だと言えるだろう。
株式会社BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー。大学院大学至善館准教授/京都造形芸術大学創造学習センター客員教授。東京大学法学部卒業、イリノイ工科大学デザイン研究科(Master of Design Methods)修了。P&Gマーケティング部で「ファブリーズ」「レノア」などのヒット商品を担当後、「ジレット」のブランドマネージャーを務める。その後、ソニーに入社。同クリエイティブセンターにて全社の新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わる。ソニー退社後、戦略デザインファーム「BIOTOPE」を起業。BtoC消費財のブランドデザインやハイテクR&Dのコンセプトデザイン、サービスデザインプロジェクトが得意領域。山本山、ぺんてる、NHKエデュケーショナル、クックパッド、NTTドコモ、東急電鉄、日本サッカー協会、ALEなど、バラエティ豊かな企業・組織のイノベーション支援を行っており、個人のビジョンを駆動力にした創造の方法論にも詳しい。著書に『直感と論理をつなぐ思考法――VISION DRIVEN』『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』(クロスメディア・パブリッシング)がある。