交渉再開のハードルは高いが
トランプ氏には再選の「材料」

 今後、北朝鮮の「非核化」など米朝交渉はどういう展開が考えられ、課題は何か?

 ハノイ首脳会談で非核化という根幹部分で、これだけ本質的な差があることが明らかになったわけで、米朝交渉を再開するハードルはとても高い。

 それも単に首脳会談を再スケジュールすればよいという話ではなく、「3回目」は、確実な合意を作るための会談でなければならない。

 トランプ大統領は、問題は米朝首脳会談で解決されたという形に固執するだろうし、北朝鮮の体制が完全な金正恩委員長のトップダウンであることから、首脳会談でないと決着がつかないのは明らかだ。

 ただハノイ会談の轍を踏むわけにはいかず、もし第3回首脳会談があるとすれば、実務的に米朝の差を埋めるという交渉を先行させざるを得まい。

 ハノイに至るプロセスで北朝鮮は実務的な交渉を避け、首脳会談に直接持ち込もうとした気配が見える。トランプ大統領の習性を見て、トランプ-金正恩の直接交渉に持ち込めば、トランプ大統領は合意を作るため妥協すると考えたのだろう。

 外交交渉では、当然、いろいろな駆け引きがあるし、首脳会談をどう位置づけるかは相手による。

 北朝鮮が相手の場合でもこれまでも異なる例がある。

 1994年の米朝枠組み合意はカーター元大統領が訪朝し金日成総書記(当時)とのトップ会談で米朝交渉の開始を合意し、その後、ジュネーブでの姜錫柱(カン・ソクジュ)北朝鮮外務次官(外交についての実質的責任者)とガルーチ米国務次官補の間での交渉で「枠組み合意」に至った。

 2002年の小泉首相訪朝・平壌(ピョンヤン)宣言については訪朝に先立つ1年の実務的交渉があった。

 実務的交渉に携わった筆者の経験では、北朝鮮の交渉相手は主要な事項については、常に本国に持ち帰りトップの承認を得て次回の交渉の場にやってきた印象を持つ。

 つまり、実務的交渉であっても中味はトップの意向次第なのだ。

 米国は、ハノイ会談の後、交渉継続の意図を明らかにし、春に予定されていた2つの米韓合同軍事演習の中止を発表した。

 トランプ大統領にしてみれば、今後、国内政治情勢が厳しくなっていく状況を考えれば、北朝鮮問題で大きな実績を上げることは、2020年の大統領選再選に向けて国内の批判をはねのける有力な材料になり得ると考えているだろう。